屋内外で発見したことからの発想事例2 -熱気球、パンチカード-

1.煙突の上で紙切れが舞っているのを見て熱気球を発明した、フランスの発明家 モンゴルフィエ兄弟

  
 ジョセフ・ミシェル・モンゴルフィエと、ジャック・エティエンヌ・モンゴルフィエの兄弟が、熱気
球を発明するきっかけとなったのは、煙突から立ちのぼる煙です。
  
 ある日、工場の煙突を何げなくながめていると、煙突から煙が空に上り、その上で紙切れがヒラヒラ
と舞っている。熱い空気はものを持ち上げる上昇気流を起こす。ということは、熱い空気を閉じ込めた
容器は空に上るはずだ。
  
 二人は、湿ったワラを燃やして発生させた大量の煙を、布と紙でつくった大型気球に詰めて上昇させ
る実験に成功。次に、気球にゴンドラをつけ、そこにアヒルやヒツジを乗せて実験したあと、ついに人
間を乗せた熱気球の初飛行に成功する。1783年のことです。
 
 


2.車掌が切符にパンチを入れるのを見て、パンチカードのシステムを考案した、アメリカの技術者 ハーマン・ホレリス

 
 19世紀の後半、コンピュータが開発される以前のことです。情報をコード化するシステムとしてパ
ンチカードのシステムを考案したのが、アメリカ人の技術者ハーマン・ホレリスです。
  
 ホレリスは、一時期、国勢調査をする会社に勤めたことがありました。調査の結果は手作業で整理し
ていましたので、統計ができ上がるころには、次の調査が始まっているという具合です。そこで機械化
の方法が求められていました。
  
 ホレリスは、調査カードのまわりに刻みを入れる電動式の機械というイメージを持っており、マサチ
ューセッツ工科大学で教鞭をとっている時代に、長い紙テープにパンチしてドラムに巻きつけるという
方法を考案しましたが、テープの長さが数キロにもなってしまうというので、断念しました。
  
 あるとき、ワシントンからセントルイスに向かう列車の中で、車掌が切符の数か所にパンチを入れて
いるのを見ました。車掌にたずねると、列車には指名手配の犯人が乗っていることもあるので、例えば
「目が黒い」「背が高い」「鼻が低い」など、切符の決まった位置にパンチすることによって、乗客の
特徴を記録しているというのです。
  
 これを聞いて、ホレリスはひらめきました。自動的にカードに穴を開け、その穴の位置によってコー
ド...
化された情報を読み取ればよい。この方式で、分類、集計などが格段にスピードアップされるはずだ
。彼はこつこつと自分の手で機械をつくり、1889年のパリ万国博覧会に出品して、評判になりまし
た。翌年、国勢調査を引き受けたホレリスは、6週間で統計作業を終わらせることができたそうです。
彼の設立した会社は、後にワトソンに買収されて、IBMになりました。
  
                   出典:「ひらめきの法則」 髙橋誠著(日経ビジネス人文庫)

◆関連解説『アイデア発想法とは』

↓ 続きを読むには・・・

新規会員登録


この記事の著者