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1. 電子部品業界を牽引 ~ リバーエレテック社
今回は水晶振動子や水晶発振器を中心に業界のリーディングカンパニーとして小型化を牽引、小型・高性能・高品質を支える技術を培っている電子デバイスメーカーのリバーエレテック社(山梨県)の新規事業創出に向けた取り組みを紹介します。
同社が2014年に発表した高周波帯で超高精度の「水晶Lamb波共振子」は、その「ATカット水晶振動子より一桁高い周波数帯で同等の高い周波数安定度を持つ」という性能から技術的に高く評価されたものの、従来にない高性能が逆に災いし、既存用途の顧客ニーズとのマッチングが難しく、3年間に渡り商品化後の販売が進みませんでした。そこで2017年にシーズドリブンQDプロセスのコンサルティングを実施し、体系的な開発手法とイノベーション支援ソフトウェアGoldfireを活用することで、新技術の機能・特性を生かせる新規事業機会の創出に向けた取り組みを行うことになりました。
2. 市場との接点見つからず ~ 水晶Lamb波共振子
同社主力事業の水晶デバイスは、多種多様なエレクトロニクス製品の中で「オーケストラの指揮者」の役割を担う、なくてはならない重要なものですが昨今、水晶デバイスの市場でも、商品ライフサイクルはどんどん短くなる傾向にあり、たとえ新商品であっても魅力的品質はすぐに陳腐化し当り前になってしまうのが現状です。また同社は「小型ならリバー」と言われるように小型軽量化技術を得意としてきましたが、その小型化要求が3~4年前から突然なくなりコストダウン要求のみが強くなってきたことから、新技術と新市場の開拓が急務となったのです。
そんな状況の中、2014年に水晶Lamb波共振子の開発に成功し発表。IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)でも技術は高く評価されたのですが、市場の反応はほとんど無く、商品化後の販売が思うように進まなかったのです。現実には、新市場を開拓しようにもスペックが従来品と違い過ぎて、既存市場(用途)との接点が見つからない、従来からの顧客にプレゼンしても反応が薄い…。そんな状況が3年に渡り続きました。技術を開発するのは得意でも新市場の開拓では壁にぶち当たる…。そんな状況でした。
3. コンサル導入で販路に光 ~ シーズドリブンQD・Goldfire
コンサルティングは2017年末から始め、翌年4月にかけ計5日間のシーズドリブンQDコンサルティングプログラムを実施、これに並行してGoldfireの利用テクニックを習得するためIDEA社で開かれているこの支援ソフトウェアの知識検索スキルアップセミナーを5回受講してもらいました。
コンサルティング指導では、初めにテーマと背景、取り組みの目標とアプローチ方法について参加メンバー内で確認し共有してもらいました。その上で、まず水晶Lamb波共振子の機能・特長を超高周波性と温度特性、経年変化、耐衝撃性、周波数精度、選択性、送受信性といった技術特性ごとに抽出してもらいましたがその際、各特長を「機能とその達成のレベル(S+V+O)」の形で明確に表現することを指導しました。
次いで機能・特長表現から支援ソフトで知識検索するための「検索クエリ」を導き、クエリを展開しながら「機能・特長」を生かせる「用途」を探索、知識検索を使いながら特許や文献情報から同社製品の特性にマッチする使い方のキーワードを探し有望な想定用途を選び、さらに選択した想定用途を事業性と自社適合性で相対評価して優先的に取り組む用途について絞り込んでもらいました。
さらに絞り込んだスマート農業とエアロスペース無線の二つの用途について簡易的な品質...
シーズドリブンQDプロセスの結果から、最終的なターゲット市場を航空宇宙無線に絞り込めたようです。ノイズの少ない無線周波数を発生することから通信環境が良くない場でもよりこの製品を訴求できると考え、簡易品質表で分析し仮説を立てた顧客ニーズ、訴求・差別化のポイントに基づいたプロモーション活動用の資料を準備し、社内体制を整備していったのです。また支援ソフトのデータベースで調査した結果、ターゲット顧客を北米のエアロスペース企業に絞り込みました。
今回のように準備してからアプローチを開始した結果、プレゼンでも顧客の反応が全く違い、実際に契約にも結び付いているということです。