‐現場観察のチェックポイント‐ 製品・技術開発力強化策の事例(その8)
2015-11-17
前回の事例その7に続いて解説します。現場観察はどのような場合でも非常に大切です。 価値ある情報をくみ上げる観察力を絶えず自己啓発する必要があります。現場観察は創造力が生み出される源泉です。そして、現場観察の手を緩めると観察力が鋭い人でも勘が鈍ってしまいます。以下に注意すべき事項を8点、整理しました。
上記の8箇条を基本として、観察と結果の評価を繰り返すことで現場観察力が作られていきます。
電子部品を生産しているプラスチック成型業者の事例です。24時間操業しているが、冬になると夜間の不良発生率が高くなり、記録を調べても原因が捉えられないため、何が原因なのか、技術者が泊まり込みで調査する事になりました。
時間間隔を決めて品質チェックを行っていると、人が工場を出入りした直後に不良品が発生する事を突き止めました。射出成型機の射出部温度を調べると、人が出入りした直後に設定値以下に温度が低下していることが判り、設定値に復旧するまでの僅かな時間の間に不良が発生していることが判りました。
原因が突き止められたので、早速対策を立てることになります。既に設置されていた空調設備を整備し、更に、入り口を二重ドアにして人の出入りにより室内温度が変化しないようにして夜間の不良発生率が高くなる問題を解決しました。
この企業では、不良の発生原因を徹底的に追求し、他社が難しくて断るような成型品の生産を行うことが出来る技術を開発しています。原料別の不良率発生状況の比較を行い、特定の原料に...
不良発生率が高くなることを突き止め、原料業者と交渉して、この企業独自の配合を指定して納入させる事も行っています。
また、射出成型機の構造がある製品の成型に適していない事を不良発生状況のデ-タから突き止め、射出成型機の構造を独自の仕様に変えて機械メ-カに発注する事も行っています。これらの技術開発は不良発生状況のデ-タをあらゆる角度から現場観察で収集し、比較検討の上、納得の行くまで調査続けていることで可能になる技術開発です。このように、現場観察はどのような場合でも非常に大切で、創造力を生み出す源泉です。