ものづくり企業の生き残り策
2015-12-28
近年、江戸または明治時代から代々続いてきた老舗の倒産も増加傾向にあるようです。そのような中で、戦国時代から、460年以上、代々続いてきた「オカモト」という鋳造所に長寿のヒントがあるようです。皇室や大名から御用達の製品も代々作り続けてきたということで、許可証や依頼書などが残されている老舗ものづくり企業です。製品としては、なべ、釜から、寅さんでおなじみの柴又帝釈天の鐘などを製造してきました。最近の製品は、景気の変動要素の比較的少ない工作機械のベッド(架台)や機械を作る補助具としての冶具などの生産財に特化しています。
たまたま、この企業の長寿の秘訣を、作家で経済評論家の幸田真音さんが尋ねていました。それによると、まず、代々、ほどよい時期に、意識的に婿養子を向かえているそうです。これは、身内と違う考え方も導入して、時代のニーズにあった商売に仕立てられてきたということのようです。また、家訓が3つあるそうです。一つ目は、本業に専念すべし。二つ目は、政治に口出しはしない。三つ目は、お説教はしない。代々の当主は、これさえ守れば後は自由なことができるというものだそうです。 非常にシンプルな家訓です。
つまり、老舗ものづくり企業の長寿の秘訣、筆者自身の体験及びコンサルの知見を一般化すると、次の4つのようなことが言えそうです(図1)
図1 ものづくり企業の生き残り策
これって、出来そうで出来ない、普遍的な経営哲学になっていると思いませんか。 つまり、経営者の想いを社内で共有化できているか、差別化できる自前の技術を持っているかが分水嶺となりそうです。そのためには、自律した社員を何人育てているかが問われています。