部下の評価とは:物流管理者の育て方(その6)

 

◆ 部下の評価

物流管理者が部下を評価する際には、公平公正に行うことが重要です。上司が評価する能力を持っていない部下は可哀そうです。そこで、きちんと評価できるように管理者を育成しなければなりません。会社の中で「評価者研修」を実施する必要があります。もし社内で教えられる人がいなければ、社外から招いてでも実施しましょう。

 

社内には何かしらの評価尺度があるはずです。ところがこの尺度の中に曖昧な点があると、評価者によるばらつきが大きくなります。本来であれば、誰が採点しても同じ結果が出ることが望ましいのですが、尺度自体の精度が低いとそのようにはなりません。

 

少なくとも物流管理者に課すべきことは、「部下の観察結果を記入させること」です。コーチングの際に声掛け回数を記録する手帳を配布しました。この手帳を活用して、部下の良い点、問題点をことあるごとに記録していくのです。

 

ある部下を出張に行かせたとします。その部下が翌日に報告書を提出したとしたら、「出張報告書を翌日に提出した」と記録します。また、別の部下が2日連続で遅刻したとします。その時に「2日連続で遅刻」と記録します。

 

このように、部下の行動について顕在化した事象を記録するわけです。これは明らかに評価のサポートになることは間違いありません。ほとんどの管理者は「感覚」で部下を評価しています。その根拠を10個上げろと言われて答えられる管理者がどれくらいいるでしょうか。

 

部下を評価する際には「顕在化」した事実で行い、「潜在的」な要素はなるべく避けるべきです。「彼にはもっと能力があるはず」と思ったとしても、それが実施されていなければ評価すべきではありません。いちいち記録していくことを面倒くさがる管理者は、管理者としての資質に欠けると言わざるを得ません。部下に関心を持ち、その部下を伸ばすようにデータ取りと指導を行う必要があるのです。

 

いかがでしょうか。今までお話してきたことを管理者は自分の仕事としてやらなければならな...

いのです。そしてそれができるように会社として管理者の方を育てていく必要があります。できれば管理者になる前に、こういった要素を取り入れた研修を実施するとよいでしょう。

 

繰り返しになりますが、実務と管理はまったく別の仕事です。管理者には後者をやってもらうようにするとともに、実務のための現場入りをさせないような配慮が必要です。

 

 

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