‐経営方針と顧客満足の関係‐ 製品・技術開発力強化策の事例(その42)
2016-02-01
経営計画が担当別に細分化されてそれぞれの職場で何を目標にして仕事の改善を図る必要があるのか、その仕組みが創り上げられ、目標の達成が直ちに経営に貢献している事を自覚する様に成果情報を共有する事で満足感が従業員に浸透していくことになります。
そのような経営の仕組みが創られている経営環境の下で、顧客満足とはどのような状態になることを意味するのか、その意義を理解している管理者や従業員が取引先と接触したり、担当の仕事に従事する事で、自企業の方針に沿った行動を取る従業員が増えてきて、顧客満足を可能にする仕事の処理の仕方が定着していく事になります。
顧客満足度はある時点で高い水準にあっても、時間の経過と共にその要求水準が変化していくので、顧客からの不満・喜び・動向などの情報収集を木目細かく行い、変化に応じて顧客満足の内容を明確にしていく必要があります。
顧客への対応で特に大切な事は、クレ-ム処理で、そのことがその企業の本質を露呈します。クレ-ムを出した後の処理の仕方で信用が大きく左右され、処理が見事であれば、信用が増大します。
広告用の印刷企画を専門にしているA企業が、印刷企画からチラシを指定の区域に配布するまでの業務を受注しました。 先ず、 印刷意匠の企画を自社で行い顧客の承認を得た上で印刷工程とチラシ配布を外注しました。印刷業者への発注伝票にはチラシの配布先も記載してあり、印刷が完了したら所定の配布先に届けるように指示しました。
印刷を受注した業者は完成品を指定の配布先に届け、これを受けて新聞配達業者はチラシを新聞に折り込み消費者に配達しました。ところが、指定の配布区域と異なる地域にチラシが折り込まれ発注元から苦情が出ました。
A社長は発注された顧客の下に走り「理由は後で調べますが、理由の如何を問わず間違った事のお詫びに今後3ヶ月間無料でチラシを当初予定されていた地域に配布させて下さい」とお詫びし...
ました。
その後状況調査を行ったところ、A企業の発注伝票には間違いがなく、印刷業者が転記間違いをして異なった配布先に届けたことが原因と判りました。A企業は印刷業者を伴って発注元の顧客にお詫びに訪れています。そして、当初に約束した通りに無料でのチラシ配布を実施しました。
このように先に誠意を示して詫びをした後で、原因調査を行い、同じ過ちが起こらないような対策について、その内容の報告をする。報告を受けた方は、再発防止の方法が確実な事と、早くて誠意のある態度に感心してこの企業を信用するようになり、以後の発注量が増加することになりました。