事故原因を絞り込む危険?原因となる可能性のある対象を拡大することが、本当の再発防止

  

 

◆ 事故の要因はうっすら分布している

先日あるラジオ番組に産業技術総合研究所で安全工学の研究をされている中田亨先生という方が出演し、組織に所属している皆様にとって、とても参考になる話を聞くことができました.

 

それは事故や不具合の原因は1つではなく、うっすらと幅広く分布しているということです.事故が発生したり、不具合が顕在化すると、ただ一つの原因を追究したり、犯人さがしのようなことをして、それが明らかになることで区切りにすることが多いと思います.その代表例が事故調査委員会と仰っていましたが、たしかにそうだなと思いました.その例が御巣鷹山に墜落し、多くの犠牲者を出してしまったJAL機の事故です.あの痛ましい事故は、しりもち事故を起こした後の修理のミスが原因で発生したということになっています.

 

これを聞いたとき、恩師から学んだイキイキ職場と共通性があると感じました.以下にそれを説明します.

 

原因を1つに絞り込むことは正しい解答にたどり着いたような感覚になりますが、原因を1つに絞り込んで対策を実施することは他の原因による事故の再発防止にはなりません.そこに問題解決型の原因究明の限界があります.

 

あらゆる原因の事故を起こさないようにすること、つまり事故を再発させないことが本当の再発防止であるとすれば、原因を1つに絞り込むのではなく、逆に原因となる可能性のある対象を拡大しなければいけません.実は、JALの事故が起きる前に、その機体の搭乗員の方が、しりもち事故の修理後に風が漏れるような音がしていることに気づいていたそうなのです.もし、そのことを他の搭乗員や上司などと共有化し、誰かがいつもと違う何かに危険性を感じて、アクションを起こしていたら、あの事故は防ぐことができたかもしれません.中田先生はそういうことも含めて要因はうっすらと分布していると仰っていました.

 

私はそれを聞いて、製造現場のポカミスを減らす方法はイキイキ職場を作ることであるという恩師の言葉を思い出したのです.

 

つまり、何かいつもと違うこうことに気づくことが事故や不具合を防ぐことにつながるのですが、気づきを誰にも話さなければ、その気づきは活かされません.よって、気づいたことをなんでも話す職場にすることが問題発生を減らすことにつながるのです.それがイキイキ職場の狙いなのです.

 

【出典】QECompass HPより、筆者のご承諾により編集して...

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