改善活動の共通言語
2016-02-10
改善活動の最初のフェイズでは『現状把握』を詳細に行います。現状把握はあるべき姿からのギャップを埋める為の課題を見出す為、客観的視点で行います。足りない情報があれば経験や主観で補わずさらに情報収集を行い精度を高めます。またこのフェイズを適切、且つ迅速に行うことで改善活動のスピードは大幅に加速でき、効果を早く実感することが出来ます。
例えば、QC7つ道具の一つに「層別」と言うものがあります。情報収集を行う時「後で層別分析を行うのでデータを紐付けして収集して下さい」と指示することが結構あります。これだけ聞いて何に気をつけデータを収集するかわかりますか。
サービスが提供される流れ(プロセス)を考えると必ずしも一本道では無く、複数の分岐を経て最終的に提供されるモノに成っていると思います。製品であれば違う工場、ライン、加工装置、作業者、検査装置、輸送業者など異なるルートを経て完成し、納品されている場合が殆どです。ルートだけでなく、製品を構成する原材料や収納する容器の違いも品質の違いを生み出す要因になりえます。
データを収集する段階で予めこれらの要因を紐付けておかないと後からそれを行うのは非常に手間がかかります。層別について理解していればデータ収集の方法を細かく説明しなくても「層別」というキーワードを含めればいいので簡単です。またどのような層別項目があるかも、採取する側が自身で考える事が出来ます。
自社工程は実際に勤務している従業員の方が一番わかっているのですから、その方が作業効率だけでなく、項目に漏れが無いと言う点でも優れているのです。このように改善に関わるスタッフが改善に関する手法や用語を知っていれば対処にムダやムラが少なく複数のアクションを平行しても問題なく進めていけます。
スポーツの指導でも指導を受ける人の経験や基礎体力の有無で到達レベルや、そこに至るスピードも異なる事でしょう。コンサルティングも同じで、言われるまま意味も良く理解しないまま進...
める人と改善手法を理解して着手する人では成功の度合い、スピード、成果全てが異なります。つまりコンサルティングをより有効なものとするために従業員の方々に改善活動に従事する基礎体力と基本技を身につけて頂きたいのです。改善の手順や手法が分かるようなら自分たちで可能なのでコンサルタントは不要では無いか、と思われるかもしれませんが、そうなる位がちょうど良いと思っています。コンサルティングを通じ改善の方法を学び、最終的には地力を高めた従業員の方だけで継続していけるようになればそれが一番良いのです。