管理会計としての物流 物流関心度を高める(その2)

 前回のその1に続いて解説します。
 
 物流事業者でない場合、物流コストは財務諸表には出てこないため、別の費目から抽出する必要があります。たとえば営業マンが製品を顧客に届けていたとしましょう。この場合、販売物流費に認識すべきものが販売管理費の中に入ってしまうことになります。
 
 つまり販売物流費に相当する部分だけ販売管理費から抽出する必要があるのです。また工場内物流として部品運搬や製品保管業務があります。これは製造経費に含まれることになります。同様に物流コストとして抽出しなければなりません。財務会計は財務諸表を見ればわかりますが、これら物流コストは管理会計、つまり会社内でのマネジメントのための会計で認識する必要があるということです。
 
 調達物流に関するコストは部品費から抽出します。作業員が行った物流作業は人件費から抽出します。容器購入費用は経費から、電力等のエネルギー費は物流に要する分だけ配賦する必要があります。この抽出作業はもしかしたら煩わしく感じられるかもしれません。しかしこれをきちんとやらないことには物流を数字で示すことができません。
 
  一方で、極端に中途半端な把握は問題を引き起こす可能性があります。たとえば出荷にかかる対物流事業者への支払コストだけ把握し、これが物流の実力と見ることは危険だということです。
 
 なぜならこの部分だけではなく、先ほどから示しているさまざまな物流コストが発生しているからです。経営者は一部の物流費だけを見て、自社の物流コストは小さいので競争力があると勘違いしてしまうことが怖い点です。
 
 何かしらの方法で、かかった諸コストから物流コストを抽出できるシステムをつくると良いのではないでしょうか。このしくみ化についてはぜひ実行しましょう...
 
 次に考えていくべきことは「物流で会社を儲ける」ことです。物流は単純なコストだけではないはずです。物流の存在が何かしらの業務に貢献しているはずなのです。
 
 この「儲けの源泉」たる物流を社内で見つけてPRすることも、物流に関心を持ってもらうことにつながります。物流の貢献度を見つけて知らせるという手法です。
 
 次回は、「物流で会社を儲ける」を解説します。
 
 

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