【調達段階のコストダウン 連載記事】
7.有利購買による取引先の整理
相見積もりは、ある特定の品目について複数の取引先から見積書を提出してもらい、比較検討して、安価な購入先を決める方法であると述べました。この相見積もりは、調達する製品知識に乏しくても容易に実行できる点から、一見すると有効な方法に見えるのですが、あくまで現在取引のある会社の範囲内での比較です。
日本全国を見たならば、その品目を買える会社はたくさんあります。また、海外調達も盛んに行なわれています。もしかしたら、それらの企業の中に、もっとその品目を安く買える会社があるかもしれません。いや、あるはずです。購買部門では、このような考え方を忘れてはなりません。
そして、まずは、自社の現在の取引先の品質や納期、価格、技術力、特徴、経営状況などの水準を知っておくことです。また、過去あるいは新規に紹介された会社も、同じ項目について整理しておきます。そのうえで、自社の現在の関係のあった取引先情報とします。
この情報は、将来自社では、どのような水準の会社と取引をしていくのかといった購買政策を含めて検討していくために重要になります。又、新商品の開発に伴って必要になる技術やサービスなどに役立てることもできます。
このようにしておけば、普段の購買活動では、どの取引先から購入したら有利に購入できるのかが明確になり、有利な購買活動が進めるのです。これが、調達品のコストダウンへとつながっていきます。
8.機能の視点から捉える価値購買
ここでは、調達品を別の視点から考えたいと思います。それは、その品物のはたらきという機能の面から捉えます。調達品を見て、「それは、どのような機能を持っているのか。」という視点から、その機能を満たす安価な代わりの品目を検討することです。
これは、価値分析(VA)という言葉で紹介されています。機能の視点からのとらえ方は、「その品目の何を買っているのか」ということを考えます。事例を掲げて、考えてみましょう。
昔の車のバンパーは、金属で作られていました。そのバンパーを機能の面から考えると、衝突の衝撃を和らげることです。その結果、現...
在のバンパーは樹脂に置き換わり、コストダウンを達成しています。
このように購入する品目を機能面から考えることによって、コストダウンを導き出すことです。機能面の検討は、設計段階でも進められていますが、製品や加工技術などに関するさまざまな情報は、外部と接している購買部門が一番入手しやすいものです。それらの情報を活用して、機能面からコストダウンを図ることが重要です。