守りの物流と攻めの物流 エンジニアリングとしての物流(その3)

 前回のその2に続いて解説します。
 
 通常輸送するモードの輪切りで容器モジュールを設定します。10トン車が輸送の中心であればその荷台の輪切りでモジュールを定めるのです。
 
 この時に1.1系パレットにこだわると効率的なモジュールを設定できない恐れがあります。1.1系を使用しないとにっちもさっちもいかない状態にないのであれば、これにとらわれることなくトラックをベースに容器モジュールを考えていきましょう。
 
 前回にこのモジュール化された標準容器の中にいかに効率よく製品を収納するのかを考えていくことが荷姿技術の基本であるとお話しました。
 
 さらにエンジニアリングとしての物流を考えた時に出てくるべき発想が、物流を考慮した製品設計です。いかに物流効率を阻害しない製品をつくるかを考えるのです。
 
 この発想についてどのように受け止めますでしょうか。筆者がこの主張をした20年前は「何をたわけたことを考えているのか」と言われました。
 
 つまり物流は二の次であって、物流効率を向上させるために製品の設計を変えることなど「あり得ないこと」と言われていたわけです。物流は決められた範囲内で最高の効率を考えろ、という発想です。
 
 これを「守りの物流」だとしたら、物流のために製品設計を考えることは「攻めの物流」だと言えるでしょう。
 
 とことんサプライチェーンの効率を追求していくと必ずこの局面に遭遇するのだと思います。ですから、まずは現状の範囲でとことん効率化を進めましょう。
 
 しかし、それが一定のレベルに達したのであれば、次のフェーズ...
に移っていただきたいのです。「固定観念」は捨てなければなりません。
 
 サプライチェーンを最高の状態に持っていくためには製品設計や生産場所などを変えなければならない時がやって来るのです。
 
 ということで、物流効率向上のための製品設計について考えていきたいと思います。その代表的なものが荷姿効率を向上させるための製品のあり方の検討です。
 

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