繰り返しになりますが、事例としてあげている設計部門では、現状の課題を次のように整理できています。
(1)繰り返し実施する試作が同時作業となっており、設計の時期に直前の試作の評価を並行して実施している
今回は課題の(2~4)について、根本原因分析を行い、登山マップを完成させます。まず、(2)の課題です。(2)の文章は少々わかりづらいので、図20を見ると良いと思います。
開発試作段階で大きな工数を使っていること、そして、開発初期であるにもかかわらず、構想、設計、施策関連、プロジェクト管理、顧客対応という様々な異なった作業を実施していることがわかります。開発試作というと簡易的に試作製作しているイメージがありますが、この設計部門では負担の大きな作業になっているわけです。調査・分析によって次のようなことがわかりました。
・顧客対応とプロジェクト管理を兼務するのは非効率
次は、「(3)2Sという試作期間にもっとも多くの工数がかかっており、設計作業、評価作業ともに最大の工数が必要になっている(工数手当て・調整が容易ではない)」という課題について見てみます。上の図20(第7回)を見ると2S(第2試作)の期間が開発を通じて最大の工数がかかっていることがわかります。したがって、この期間の効率化は必須です。ここでの課題は今まで挙げてきた課題と重複することが多いため、重複しないものだけをリストアップしておきます。第2試作から自社工場の製造ラインを使うのですが、その準備に設計者が走り回っており、試作関連や評価としている作業の多くを占めています。第2試作におけるソフトウェアの完成度が低く、動く状態になっていないため、試作評価や顧客提供のための準備や対応に時間がかかっています。根本原因もこれまでと重複しないものだけを挙げておきます。
・設計データを使った製造性評価を十分に実施して...
・ソフトウェア開発に適したプロジェクト管理になっていない
最後に「(4)開発期間を通じて、設計作業、試作関連作業、評価作業が同時に実際されており、開発の状況把握やマネジメントは容易ではない」という課題です。これは根本原因だけを挙げておきます。
・リーダーにとってメンバーのマネジメントが後回しになる