バイオマス発電 :新環境経営 (その25)
2017-05-16
新環境経営への取組みについての話題を提供するに当たり、経済成長に邁進してきた中で発生した公害の歴史、CSRの取組の変遷、環境マネジメントシステム、有害物質管理の現状、エネルギーマネジメント、エコを経営に活かす、について紹介してきました。その後省エネについて3回に亘って紹介し、前回からは創エネについて紹介してきています。創エネというと、太陽光発電、風力発電、地熱発電、小水力発電に続いて、バイオマス発電ついて紹介します。
バイオマスは、英語のbio(生物資源)mass(量)を表しています。バイオマスにはいろいろな種類があり、木質資源、下水汚泥、家畜糞尿、食物残渣等の動植物から生まれた再生可能な有機性資源です。石油、石炭なども、もともとは植物資源が変化したものですが、作られるまでに長い年月がかかるため、再生可能な資源とは考えないと定義されています。
バイオマスは二酸化炭素削減(地球温暖化対策)、循環型社会構築などの取り組みを通じて脚光を浴び、旧来の薪や炭などの利用に加え、バイオマスエタノール、バイオディーゼルなど各種のバイオマス燃料の利用も拡大しています。しかしその一方でバイオマス生産のための森林破壊や食料との競合などの問題も指摘されており、現在もより弊害の少ない技術の開発が進められています。又、技術水準に応じた規制も検討が進んでいます。
バイオマス発電は、加工した固体燃料または発酵させて回収したガスやエタノールを燃やすことで電気エネルギーに変換します。これがグリーン電力となります。二酸化炭素を排出せず、環境に負荷を与えないというメリットがある自然エネルギーです。火力や原子力による発電と比べ発電コストが高く、なかなか普及が進まない状況ですが、RPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)施行に伴い、各電力会社では火力発電所での石炭と間伐材等との混焼が進められており、実証試験の段階から本格実施へと移行している段階です。
そもそも高度成長期以前の日本では、落葉や糞尿を肥料として利用していたほか、里山から得られる薪炭をエネルギーとして活用してきたわけで、日本人との親和性は極めて高いものです。高度成長期は石油起源の資材、燃料などへの置換により、顧みられることが少なく...
なりましたが、近年、廃棄物処理コストの高騰などから高度利用を模索する地方自治体や環境保護団体などが増えてきています。
バイオマスの研究は、近年急速に進んできており、最近、稲わらからバイオエタノールが70円/Lで作れる技術が確立されたとのニュースがありました。米を作って食べて、藁で燃料を作れる。それが農家の副収入になるわけです。勤めてサラリーをもらう職業には夢を持ちづらいが、ハイテクを纏った農業には夢があります。
次回は創エネの最終回として、「藻から燃料」の取り組みについて解説します。