2017 高機能プラスチック展レポート(その1)
2017-06-08
2017年4月、東京ビッグサイトで『高機能素材Week2017』がありましたが、この催物の一部として、高機能プラスチック展が開催されました。本レポートでは、プラスチック材料、加工品、プラスチック加工及び装置に関連する展示に絞って紹介し、解説します。
JXTGエネルギーは、JXホールディングス㈱と東燃ゼネラル石油㈱の経営統合によりJXエネルギーから社名変更しました。主な展示内容は、液晶ポリマー(ザイダー)、脂環式エポキシ化合物、ピッチ系炭素繊維、熱可塑性エラストマー(ジェラティック)、反射防止・曇り防止加工、蓄熱材等です。写真1は反射防止素材の展示です。以前の展示から手で触っても性能が低下しないように設計変更されています。
写真1 JXTGエネルギーブースの反射防止加工の展示
写真2はパラフィン系蓄熱材です。形状はペレットとシートがあり、ペレットは石膏ボードやパーティクルボード製造時に混合することが可能です。
写真2 JXTGエネルギーの蓄熱材
住友ベークライトは防錆フィルム・防湿フィルム・防カビフィルム等の機能フィルム、熱硬化性樹脂と金属の接合、高引裂き性シリコーンゴム、長繊維強化フェノール樹脂等を展示していました。写真3に展示の一部の様子を示します。
写真3 住友ベークライトの展示
熱硬化性樹脂と金属の接合は設計の自由度と製品の信頼性を高めるとのことです。ガラス長繊維フェノール樹脂は3次元複雑形状の成形も可能であり、CFRPプレプリグを用いる方法よりもサイクルタイムが短くなるという利点もあります。従来のシリコーンゴムは低硬度に設計すると引き裂き強度が高くならないという課題がありましたが、高引裂きシリコーンゴムはクラックの成長伝搬を抑制する構造を持ち、低硬度でも高硬度品並みの引裂き強度を持ちます。ターゲットとなる分野はヘルスケア・医療・自動車等が想定されています。アロン化成のエラストマーにはスチレン系・アクリル系・ポリエステル系・高熱伝導タイプがあります。スチレン系のARにはガスバリアタイプがあり、ブチルゴムと同等のガスバリア性を持ちます。ポリエステル系エラストマーであるエステラールの高耐熱グレードは耐熱老化性と低圧縮永久歪みに特長があります。写真4に展示パネルを示します。また、エステラールの透明グレード、融着サンプルも展示されていました。
写真4 アロン化成の展示パネル
ア...
ルケマは、植物由来ポリアミドの透明タイプ・高弾性タイプや柔軟性芳香族ポリアミドを展示していました。写真5にパネル、写真6に展示サンプルを示します。
写真5 アルケマの展示パネル
写真6 アルケマの展示サンプル 上:透明タイプ、下:柔軟芳香族タイプ
また、ラジカル反応性リビングポリマーのパネルも掲示していました(写真7)。新しいポリマーアロイの原料として期待されます。
写真7 アルケマのラジカル反応性リビングポリマーの説明パネル
次回も2017年の高機能プラスチック展から続きを解説します。