COP21 パリ協定: 新環境経営 (その50)

 新環境経営への取組みについての話題を提供するに当たり、経済成長に邁進してきた中で発生した公害の歴史、CSRの取組の変遷、環境マネジメントシステム、有害物質管理の現状、エネルギーマネジメント、エコを経営に活かす、その後、省エネ、創エネ、畜エネについて紹介してきました。その後、省エネ、創エネ、畜エネについて紹介してきました。その44からCOP21パリ協定ついて紹介しています。今回はパリ協定で実現する未来についてです。
 

1. パリ協定で実現する未来

 あるべき未来の姿からさかのぼって対策を決めるべきだというのがパリ協定です。長期戦略があれば、その時々の政治や経済状況で温暖化対策が左右されることが少なくなります。温室効果ガスを「実質排出ゼロ」にするための国家戦略を2020年までに作るよう各国に求めています。
 
 英国で制定された「気候変動法」は、「2度目標」(温暖化による気温上昇を産業革命前と比べ2度より十分低く保つ)を念頭に、2050年に1990年に比べ80%削減という目標を設定しました。それまでに排出できる残りの温室効果ガスの量を試算し、5年ごとに排出量の上限を決めて、政府にその達成を義務づけます。将来を見通し、ペース配分を考えて対策に取り組めるのです。
 
 英国は国民投票でEU離脱が選択され、政治や経済状況が不透明な中で、温暖化対策の長期戦略が堅持されるか見ていく必要があります。2016年9月5日に杭州で開かれたG20でも「パリ協定」の早期発効が採択されました。京都議定書では、離脱や除外となっていた2大排出国がパリ協定に組み込まれる意義は大きいでしょう。ただ、短期的には、地球温暖化による、永久凍土の消滅や海面上昇、海水温の上昇による異常気象等、地球規模の災害が増えてきており、一刻も早い温暖化対策が望まれるのです。
 

2. 今後の環境順応社会とは

 住宅の断熱性が高まり、地中熱を使ったヒートポンプ式エアコンを使えば、室温を一年中一定に保つことも可能です。屋根に乗せた太陽光パネルで作った電気で家の中で消費するエネルギーの全てをまかなうことも可能です。余った電気は蓄電池や電気自動車にためて、天気の悪い日や夜に使うなどが考えらます。オフィスやショッピングセンターなどのビルでは、水素を使って燃料電池を動かし、足りない電気を補うことも出来ます。
 
 乗用車は、ますます電気自動車が普及することになるでしょう。トラックやバスは燃料電池やバイオ燃料で動く方向です。高速道路では、路面や架線から電気を受け取りながら走ることもできるようになりま...
す。市街地では、自転車や自動運転の小型電気乗用車が行き交うことでしょう。
 
 事業用も、電気の主流は再生可能エネルギー。風力、地熱、水力発電が増えます。火力発電所も残っているでしょうが、二酸化炭素を回収して地中に埋める装置(CCS)がついていることになります。CCSがついたバイオマス発電所もあります。燃料は二酸化炭素を吸収しながら育つ植物なので、排出は「マイナス」となります。COP21パリ協定の紹介はこれで終了です。次回からは、これまでに紹介してきた内容を取り込んで、源流から下流までをトータルにリサイクルしている事例について紹介します。
  

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