人を誉める時は順番を考えよ -クリーン化診断の例を添えて-

 前回は人を誉める時のタイミングについてでした。今回はその順番についてお話します。

1.誉める順番を考える

 現場に行って、「あれがいけない、これがいけない、何だこれは?」という風に頭ごなしに叱っておいて最後に誉めても、もう効果は殆どありません。「それがどうしたんですか?」ということになってしまいます。出るべき情報までも伏せられたり、頑なに拒まれるということが往々にしてあります。

 これを、「綺麗になっているじゃないですか。とか、良くやっていますね」と、とりあえず最初に誉めると、これがお世辞であっても嬉しいもので、「ありがとうございます、でもまだここがうまく行っていないんです、こういう問題があるんです」などと本音を吐いてくれたり、たくさんの情報を出してくれます。気持ちが楽になるんでしょうね。

 これは、その会社、工場のトップの方でも同様に喜んでくれます。特に、トップの方は、自分よりも上位職の方が居ませんから、誉められるということが殆どありません。外部から指導に入る立場のノウハウの一つとも感じます。

 そうすると、こういう問題に対する支援、アドバイスをして喜ばれたり、相手とのコミュニケーションが良くなったりする効果、手応えを感じます。つまり、相手が聞く耳を持つ、心を開くということに繋がるからですね。最後に、「でも、ここはこうした方がいいですよ」などと付け加えると、聞く耳を持っていますから良く聞いてくれますし、やってくれることも多くなります。

 

2.促しも命令の第一歩

 最近の管理・監督者の皆さんのお話を聞きますと、「近頃の若い人は、促しどころではなく、言われなければやらない、言われてもやらない」などと愚痴が出てきます。しかし、そういう管理・監督者の皆さんの日常の行動を見ますと、毎日毎日叱る、命令する事ばかりが多いのではないでしょうか。あるいはまったく放置している。こうなるとその時だけ促してもなかなかうまく動いてくれません。

 しかし、日頃から誉めることを繰り返しながら良い関係を作っていくと、こうやったらどうだろうなどと促すだけで行動に繋がって来ることが多い気がします。

 部下をうまく管理、コントロールしている方をみますと、日頃からこんな努力をし、コミュニケーションを築いていますので、“促し”が効いてくると思います。促しは命令の第一歩という前に、日頃から準...

備しておくことが必要なのです。こういった地道な積み重ねがあって、はじめて組織の総合力が発揮できるのではないでしょうか。

 こういう隠れた部分も理解している管理・監督者が現場に大勢欲しいものですね。 昔の管理・監督者は、部下を持ったその日から部下の将来を背負ったと思え、などと言われましたが、そんな人のことなど考えていられるか、というのが現実でしょうか。 今となっては、遠い昔の話になってしまいました。 今部下を持っている方、これから部下を持つ方は、このあたりをちょっと意識してみてはどうでしょう。

 

 

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