ハンダ付け作業と局所排気化

 層流式と呼ばれる清浄度の高いクリーンルーム内では、たぶんハンダ付け作業はしないと思います。しかし、乱流式など清浄度の低いクリーンルーム内では、部屋の隅でハンダ付け作業をしている場合もあると思います。過去にハンダ付け作業をクリーン化の現場診断、指導の時見かけたことがあります。
 
 ハンダ付け作業時に、白い煙が出ますが、これはハンダのミストで非常に細かな粒子です。パーティクルカウンターで0.3、或いは0.1ミクロンの粒子径で測定すると、1分間に数十万個カウントされます。注意が必要なことは、作業者がこれを吸っていないか、吸い続けていないかということです。1分間でこれだけの量ですから、たかが数分と言えども莫大な量です。
 
 国内のクリーンルームの内、乱流式クリーンルームが床面積では最も多いと言われます。このクリーンルーム清浄度が低いので、室内でハンダづけ作業をすることもありますが、室内の気流が乱れる、或いは斜流になりやすく、その気流が作業者の方に向かうと、このミストを吸い込むことになります。
 
 クリーン化の現場診断の場でも、このミストの処理がきちんとされていない場合を時々見かけます。安全上心配ですから、見かけた都度指摘しています。
 
 ハンダ付けの際に発生したミストは、局所排気の考え方で、屋外に排出する必要があります。
 
 具体的には、カバーで囲った中でハンダ付けする。作業者はその中に手だけを入れる。このカバーには排気用の配管が取り付けておく。吸い込みが弱い場合は、小型のファンなどを付ける。あるいは、排気用の配管の口元で作業し、発生したミストはその場で吸引、排出させるなどです。
 
 長年アスベストを吸い続けたことが、今になって労働災害として表面化しています。
 
 
 
 ハンダ付けも同じ作業者が長時間やり続けると、このような問題が将来発生するかもしれません。
 
 乱流式クリーンルームは、多くの業種、現場で採用していますから、このようなケースは多いと思います。疑わしいと思われることがあれば、予防的に、速やかに対応しておきたいものです。
 
 クリーンルームの4原則は、①持ち込まない、②発生させない、③堆積させない、④排除する ですが、このうちの排除するの項目の中に、局所排気設備の活用があります。この項目は、薬品の雰囲気を排出するためのドラフトの活用などに目が行きがちですが、色々な視点で現場を見ることで、固定化した考えではなく、このような事例にも気が付くと思います。
 
 特に安全、衛生上の問題ですから早めに対応して下さい。今回は...
クリーンルーム内のことを書きましたが、クリーンルーム以外の現場でも同じことが起きている場合があります。現場を見直してみましょう。
 
 乱流式クリーンルームは、中小企業でも多く保有されています。取引先から、クリーンルームにすれば品質、歩留まりが向上すると言われて採用に至ったところも多いことでしょう。しかし、その維持、管理については指導されていないことが多いようです。つまり、クリーンルームにしただけで安心するケースですが、実は細かな管理項目、視点があります。基本を確認し、クリーンルームに相応しい維持管理をしましょう。まず、現場の観察が肝要です。
  

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