「EVシフト」は幻想!いずれHEVを認めざるを得ない各国政府
開催日 | オンデマンド |
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主催者 | 株式会社 新社会システム総合研究所 |
キーワード | 自動車技術 地球温暖化対策技術 事業戦略 |
開催エリア | 全国 |
〜主要メーカの戦略転換とカーボンニュートラル燃料導入による既販車対応〜
開催日:2023年 6月 19日(月)
セミナー講師
藤村 俊夫(ふじむら としお) 氏 愛知工業大学 工学部 客員教授 [元トヨタ自動車(株)] 博士(工学)
1980年に岡山大学大学院工学研究科修士課程を修了し、トヨタ自動車工業入社。入社後31年間、本社技術部にてエンジンの設計開発に従事し、エンジンの機能部品設計(噴射システム、触媒システムなど)、制御技術開発およびエンジンの各種性能改良を行った。2004年に基幹職1級(部長職)となり、将来エンジンの技術開発推進、将来エンジンの技術シナリオ策定を行う。2011年に愛知工業大学工学部に出向(その後2015年に転籍)し、機械学科教授として熱力学、機械設計工学、自動車工学概論、エンジン燃焼特論の講義を担当。2018年4月より愛知工業大学工学部客員教授となり、同時にTouson自動車戦略研究所を立ち上げ、自動車関連企業の技術顧問、技術コンサルティング、自動車技術動向関連の寄稿、エンジン関連書籍の執筆、各種セミナー、講演会などを行う。
活動(研究歴、所属学会、著書など) 2001年「ディーゼル新触媒システム(DPNR)」で日経BP賞技術賞エコロジー部門賞受賞。2003年「ディーゼルPM、NOx同時低減触媒システムDPNR」で日本機械学会技術賞受賞。自動車技術会 代議員/論文校閲委員、日本機械学会( 2017年3月までエンジンシステム研究会主査) 。著書 サーマルマネージメント材料技術(サイエンス&テクノロジー2019年7月)他。
セミナー受講料
1名につき 33,900円(税込)同一のお申込フォームよりお申込の場合、2人目以降 27,500円(税込)
受講について
収録時間 3時間0分 テキストデータ(PDFデータ)つき
※プレミアム会員様(招待券含)も通常の受講料が発生致します。
■セミナーオンデマンドについて<1>収録動画をVimeoにて配信致します。<2>動画の配信期間は公開日より2週間ですので、その間にご視聴ください。 2週間、何度でもご都合の良い時間にご視聴可能です。
セミナー趣旨
地球温暖化による気候変動が、人類の生活に甚大な影響をおよぼし脅威を増す中、産業革命以降の平均気温は既に1.2℃上昇した。2019年9月の国連気候行動サミットにおいて、パリ協定で合意した『平均気温上昇2℃以下とし1.5℃を努力目標』では気候危機の連鎖を食い止めることはできないとの解析結果をもとに、『1.5℃以下必達』に改めることが各国に提案された。それを受け先進国、新興国の大半は、COP27(国連気候変動枠組条約第27回締約国会議)において、国連が提示する『2030年までにCO2を2010年比で45%削減、2050年に排出ゼロ』をコミットしたのである。持続可能な社会の実現に向け、CO2削減は待ったなしの緊急課題であることは自明であり、自動車産業のみならず、エネルギー、電力などすべての産業は環境改善と経済成長を目指した変容が必要になる。自動車は世界全体の排出量330億トンの内18%を占めるが、各国政府のEVシフトによる対応は「木を見て森を見ず」の偏った愚策とも言える。自動車のCO2削減は新車のみならず既販車を含めた保有車全体が対象となる。そのため、あと7年間でCO2 45%削減というハードルは、2050年カーボンニュートラルよりもはるかに高い。2030年に新車の100%をEVにしても45%削減は不可能な上、LCAで考えればEVのCO2削減効果はHEVと大きな違いは無い。さらには、EVは航続距離が少ないうえ販売価格は高く、チャージに時間がかかるなど、お客様への負担をあげたらきりがないのである。2030の年までの7年間でCO2 45%達成するには、①新車のCO2基準の大幅強化、②カーボンニュートラル燃料の市場展開による既販車のCO2削減、③電動車の全方位戦略(適時・適地・適車)を進めるべきなのである。COP28は今年の11月からUAEのドバイで始まり、重要議題の合意形成にもう後は無い。C7サミットに先駆けG7環境相会議でも熱を帯びてきたが、ここにきて米国などは、2026年比で2032年までに新車のCO2を半減するなど厳しい基準を設けると表明した。ちなみにこれは年率10%の削減となり、今の規制の2倍に相当する。欧州委員会のように技術もわからずEV、EVと騒ぐだけではCO2削減目標45%の実現はできないとようやく気付いたということだ。本セミナーでは、各国政府のこれまでの思惑、主要メーカが考える電動化戦略を分析し、技術に裏付けられたあるべき電動化戦略(CO2 45%削減が実現可能)を、カーボンニュートラル燃料の市場展開も含め提示したい。
受講対象・レベル
・自動車関連企業の経営者、役員の方・自動車関連企業で技術・経営戦略を立案されている方・自動車のCO2削減に興味のある若手技術者・気候危機に関心のある方
習得できる知識
・エコ社会実現に向けCO2低減は待ったなしの超緊急課題であり、自動車、電力セクターの責務は非常に大きいこと・パリ協定自主目標、さらに厳しい国連気候行動サミットの目標を達成するために必要な、CO2基準強化の考え方・新車のCO2は基準強化で対応し既販車の、CO2削減にはカーボンニュートラル燃料が必要であること・今後電動車の中でも、技術完成度とユーザーニーズを考慮するとHEVが現実解であり、EVは超小型のLSEVが主流となること
セミナープログラム
<第1章>CO2低減は待ったなしの緊急課題!1.気候危機の連鎖がいよいよ始まる -世界各国での未曽有の自然災害の多発-2.COP26における世界平均温度抑制目標の見直し(2.0℃→1.5℃以下)の理由3.気候危機の連鎖とは? -メカニズムとそれを食い止めるためには-4.世界各国・地域のCO2排出量推移 -コロナ下で5.8%減 しかしその後リバウンドしもとに戻る-5.産業別CO2排出比率 -電力、運輸で6割を占める-6.IPCC6次レポートでの報告内容 -2030年CO2 45%削減のハードルは非常に高い-<第2章>電力のみならず燃料のカーボンニュートラル化なくして2030年までにCO2 45%削減は不可能1. 化石燃料は有限。 -迫りくる気候危機回避のためにも石油からカーボンニュートラル燃料への転換が必須-2. 各国政府のエネルギー基本計画は、1次エネルギーを対象として検討すべき -燃料のカーボンニュートラル化も必要-3.日本の2030年に向けた電力のグリーン化戦略では不十分 -再生可能電力の拡大は限界 NH3/水素混焼の拡大が必要- 4. 自動車におけるCO2削減対象は、既販車を含む保有車。新車だけではない。 -カーボンニュートラル燃料の導入が必須-5. カーボンニュートラル燃料(微細藻類バイオ燃料、e-fuelなどの合成燃料)の製造法と課題 -コスト、収量-6. オフグリッドプラントとのでの合成燃料製造の必要性と構成 -DAC、再生可能発電装置、共電解装置、FT反応装置など-7. 水素キャリア(メチルシクロヘキサン)製造の重要性と技術動向 -ようやく動いたENEOS-<第3章>各国政府の電動化戦略の思惑1.CO2 45%削減に対し、各国、地域における新車のCO2基準値強化は妥当か? -実は現在の基準の2倍強化でも不十分-2.各国政府の自動車の電動化表明とその思惑 -CO2削減よりも自国利益ファースト-3.中国、欧州連合(EU)、米国政府の電動化戦略の違い(ZEV化など)とその裏を読む -唯一BEVに盲目的に突き進むEU-4.補助金に大きく左右される中国、欧州のEV、PHEV販売 -EV、PHEVの販売は補助金頼みであることは明白-5.EVに傾注してきた中国政府が、HEV拡大に舵切り -日本メーカに追い風、欧州メーカは逆風-<第4章>世界の主要自動車メーカの電動化戦略1.各国メーカの電動化表明とその裏を読む -エネルギー危機によりBEV傾注に懐疑的になってきた欧州メーカ-2.各国主要メーカーの電動化戦略と現状の電動化比率 -欧州メーカでの乖離は非常に大きくEV販売は伸びず-3.HEVはガラパゴス技術か? -欧州では補助金の出るBEV、PHEVよりも、補助金の無いHEVが売れる現実-4.中国、欧州メーカがいよいよ本格的ストロングハイブリッド車を導入 -いよいよ始まるHEV開発の戦い-5.中国のBEV登録車の半数を占めるLSEV(超小型低速EV)の動向 -虎視眈々と日本上陸を狙う-<第5章>自動車とカーボンニュートラル燃料のあるべき将来戦略1.世界の自動車のあるべきシナリオ(〜2023年、2031年〜2050年 投入技術の道筋)2.上記シナリオによるCO2 45%削減目標達成の可能性とCO2の年率削減率およびカーボンニュートラル燃料の導入比率3.各国・地域(欧・米・日、中国、インドを含むグローバルサウス)ごとの自動車のセールスミックス(2030年)4.2030年までの電動車の棲み分けと2031年から2050年での電動車の棲み分け<第6章>まとめ政府への提言と自動車産業が今後進めるべき施策