書評検索結果

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「井深大の箴言」豊島文雄著

投稿日 2020/12/17

本書は30年間ソニーで創業者井深大の思想を受け継ぎ、経営陣の懐刀として幹部教育などで活躍した筆者による井深氏の伝記であり、格言集です。

氏は「望むところを確信して、まだ見ぬものを真実とする」を信条として、世の中の人たちが今よりも便利で豊かに暮らせるように日々考え、行動した人でした。

その結果として現ソニーの礎を築くことになったわけですが、本書内では井深氏の幼少から起業、晩年までを丁寧に辿ることでその精神の源と成長課程を理解することができます。

パンデミックで混沌としている現在だからこそものづくりの普遍的なあり方を考えるべき機会としたいものです。

目前の些細な問題に悩まされている技術者が味わうべき一服の清涼剤としておススメです。

 

「小さな会社の儲けの仕組みの教科書」米澤裕一著

投稿日 2020/07/02

本書は、2000社以上の経営者と面会してきたコンサルタントが著した、コロナにも負けない中小企業の持続的成長を叶える1冊です。

企業が目指すのは「持続的な成長」つまり「潰さない経営」であり、そのためには当然ながら「利益=儲け」が必要です。
日本では金儲けがあたかも悪い事のように見られる節もありますが、もっと悪いのは利益が上がらず、法人税を納めず、最悪継続できずに倒産して周囲に迷惑をかけることです。

産業の成熟化による低成長時代において、そしてコロナウイルスという大きな外部環境変化を受けている今、利益のメカニズムを理解した上で、ニッチトップを目指す経営が重要と言えます。

本書には「儲け」を出し続ける原理原則と行動指針が、網羅的、具体的かつコンパクトに整理されています。

頑張っているのに、なぜか利益が残らない。
そんな悩みを抱く中小企業の経営者におススメです。

「技術経営論」丹羽清著

投稿日 2019/09/25

本書は技術経営、イノベーション論の大家である筆者による、技術経営の体系を全体から見通せる標準的な教科書です。

技術経営は一般の経営論に比べると歴史が浅く、さらには文系、理系それぞれの研究者が敬遠しがちであるため、体系化が遅れている領域と言えます。
そのため、概論として著された書籍でも扱う領域や観点がまちまちで、初学者は混乱する場合があります(自分がそうでした)

この本では概論に続いて、技術戦略、マーケティング、イノベーション、研究開発管理、組織などが満遍なく配置され、技術経営の全体像をバランスよく理解できます。

私が12回にわたってJETI誌に寄稿した「設計者のための技術経営」では、何度となく参照しお世話になりました。

技術系組織の長となって、事業経営への責任を担う、あるいはこれからそうなろうとするリーダーにおススメです。

「テヘランから来た男」児玉博著

投稿日 2018/02/06

本書は「選択と集中」の実践者として、2000年代日本財界の顔であった元東芝社長西田厚聰氏が死去する2ヶ月前に、本人の自宅で3時間半に及ぶインタビューから最期に明かした「真実」をまとめた話題作です。

西田氏が社長を退いてから10年にも満たない現在、彼がなぜ東芝を現在の苦境に追いやった「戦犯」と呼ばれたのか、その謎を紐解きながら、東芝の現在に至る盛衰史と丹念な取材で得た情報を重ね合わせて真実を探っていきます。

名門企業の病根がどこにあったのか、異端の企業人西田氏の歩みから、企業崩壊の内幕を描く意欲作は
中編の物語としても読み応えのあるつくりとなっています。

中堅以上の企業経営、管理者、そして東芝の内幕に関心のある皆さんにおススメの一冊です。