書評検索結果

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「グーグルで必要な事はみんなソニーが教えてくれた」辻野晃一郎著

投稿日 2017/10/05

本書は絶頂期から衰退期にかけてのソニーで22年間新規事業に挑戦したあと、グーグルの日本社長に転身した著者の自叙伝であり、日本電子産業への警鐘と提案です。

イノベーションの先頭を走っていたはずのソニーが規模が大きくなるにつれて動きが取れなくなり、シリコンバレーやアジアの新興企業に置いてきぼりになる様子が、内部経営者の目から描かれます。その後移ったグーグルの自由奔放な業務活動状況と対照的なためにソニーの問題点が浮き彫りになります。

しかし読んでいくうちに、これはソニーだけに限った問題ではなく大企業だけでもなく、中小を含む多くの日本企業に共通するものと分かってきます。さらに深刻なのは、筆者が書くまでもなく、大多数の関係者が既に耳にタコができるほど言われ続けながらそれでも変われないことでしょう。

耳のタコをもう一度刺激して、あらためてイノベーションに挑戦を誓う、企業内戦士たちにおススメの一冊です。

「プロフィット・ピラミッド」浪江 一公著

投稿日 2017/03/22

本書は製造業を中心に事業戦略と技術マネジメントのコンサルタントである著者が、「超」高収益経営を実現する十四のシンプルな原則という副題通りに、高収益企業6社を分析し、その共通項を整理して解説したものです。
10年前に出版された本ですが、ここで挙げられたキーエンス、ローム、ファナック、シマノ、ヒロセ電機、マブチモーターの6社すべてが、今でも高収益企業であることから、単なる景況や偶然ではなく、必然的に高収益たる戦略を取っていると言えるでしょう。
本書で示される4つの本質的な基本要件、すなわち(1)顧客提供価値の最大化、(2)競争の徹底回避、(3)創出価値最大化のための自社能力設計、(4)高利益率追求の強い姿勢は、3C(顧客、競合、自社)をビジョンで結合した強固なピラミッド構造であり、必ずしも目新しさはありませんが、一つ一つを、前記の6社と数多くの他社事例で丁寧に裏付けているために、説得力があります。
それでは当社はどうすれば良いのかという応用問題と、その決定をどこまで徹底できるかという実行力が、実際には企業間の差異になって現われていると思われます。
皆で頑張っているにもかかわらず、低い利益率に悩む事業部の責任者や企画室担当者に一読をおススメします。

「最強フレームワーク100」永田豊志著

投稿日 2016/02/05

本書はリクルート社時代から独立後まで、新規事業畑で活躍した著者が、限られた時間の中で効率よくクリエイティブな仕事をするためのフレームワークやツール、いわば知的生産の方法を紹介します。

定番のMECE、ロジックツリーに始まって、各種データチャート、さらにパワーポイントの作り方、使い方まで、著者の創造法のノウハウが満載です。

必死に仕事をしているのに、なかなか成果が上がらないとお悩みのあなたにおススメの一冊です。

「ビジネスモデルジェネレーション」A.オスターワルダー&E.ビニュール著

投稿日 2015/09/04

本書では、ビジネスモデルを描写する時に必要な項目を、漏れなく抽出するためのフレームワークを提案しており、それは3M、エリクソン、デロイトなどの一流企業で利用されています。

その項目とは(1)顧客セグメント(2)価値提案(3)チャネル(4)顧客との関係(5)収益の流れ(6)リソース(7)主要活動(8)パートナー(9)コスト構造の9つであり、これらをキャンバスと呼ばれるフレームの上にレイアウトすることで、対象となるビジネスモデルで検討し忘れているあるいは不足しているものを気付かせてくれます。

また成果を収めた既存のビジネスモデルが多くの協力者によって、このキャンバス上で分析されており、自分が検討中のビジネスモデルと比較することでどうやって成功するかの参考情報を提供してくれます。

新たな事業を開発中もしくは再構築中のあなたにおススメの一冊です。