書評検索結果
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「ものづくりに役立つ経営工学の事典」日本経営工学会編
投稿日 2016/12/20
本書は、1911年にF.テイラーが「科学的管理法」を提唱してから100年という節目で、経営工学を見直し整理しようという目的で日本経営工学会が企画して出版しました。
この学会がカバーする広いエリアを大きく10分類した後、さらに180の項目に細分し、それらをすべて見開き2ページで「解説」「歴史と課題」「活用と展開」「参考文献」という統一された形式で記述しているため、業務にあたって疑問が生じた時に、ざざっと大くくりで調べることができ、さらに詳しく知りたければ、示された参考文献を取り寄せることができます。
ものづくりドットコムのコンセプトとも通じるところがあり、経営工学を身近に感じてもらえるのではないでしょうか。
ちなみに「製品計画」と「製品設計」の項目は、熊坂が執筆を担当しています。
あらゆる製造業の図書室に常備する一冊としておススメです。
「Makers」クリス・アンダーセン著
投稿日 2014/10/23
本書は、ITの進展によって販売に行けるパレートの法則をひっくり返した「ロングテール」を2004年に著し、2009年にはさらに情報の無料化を解説した「Free」でもベストセラーを出した筆者が、2012年に出版した著作であり、誰もが製造業になれる時代の到来を書き示しています。
時代を振り返ってみれば、石器時代のものづくりは腕の違いこそあれ、個人がめいめい好きなものを作っていたわけですが、産業革命で動力の利用が始まって以来、製造業は大資本を持つ者の特権になっていました。3Dプリンターの低価格化は、古代の個人的製造の権利を復活させ、資本の大きさではなく、デザイン、設計の良否で、製品価値が判断される
時代が再びやってきたのです。
クリスがその時代を作ったわけではにものの、この新しい時代を的確にいち早く描写したところに、本書の意義があると言えましょう。まだまだMakersの世界は緒に就いたばかりであり、混沌としていますのでここでダッシュした個人、企業には多くのチャンスが拡がっている、そんなことを感じさせる内容です。
「現場力を鍛える」河野宏和/篠田心治/斎藤文 著
投稿日 2014/07/16
本書は、日本IE協会の機関誌「IEレビュー」で取り上げた企業事例の中でも珠玉の5件を取り上げ、近年のIEがどのように生産現場で展開されているかを示し、さらに共通して見られる特徴を抽出したものです。
IEはほぼ100年前Taylerらによって始まったとされますが、社会と産業の変化に対応し、現在のそれは大きく進化していることが分かります。
IEの基本を知るだけですべての課題を解決できるわけではなく、成功事例の5件をまねたからといって同じように成功することは決してありませんが、基本を学習し、成功例を真摯に読み込んで得られる気づきを自社の現場改善に反映するならば、必ずや何歩かの前進を獲得できると確信します。
その意味で、本書に収められている事例と結論は、読者に大きな価値をもたらすことでしょう。
「生産マネジメントの手法」圓川隆夫・伊藤謙治 著
投稿日 2014/01/08
本書はまだ日本が世界一の生産技術と信じていた1996年に出版されました。さすがに高品質だけではグローバル化に対応できない点は露呈しつつあり、時間競争を勝ち抜けるための「生産マネジメント」に焦点を当てているところに本書の特徴があります。
概論の後には、在庫理論、スケジューリング、プロジェクトマネジメント、ライン編成を解説し、その中でMRPにも一節を割いています。まさに経営工学の中核をなす手法群が並び、それらの意義は今でも失われたわけではありません。
これらの手法から、実行済み/有望/不要を自分たちの目であらためて精査しながら、工夫して取り込みたいものです。
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