書評検索結果

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「技術経営論」丹羽清著

投稿日 2019/09/25

本書は技術経営、イノベーション論の大家である筆者による、技術経営の体系を全体から見通せる標準的な教科書です。

技術経営は一般の経営論に比べると歴史が浅く、さらには文系、理系それぞれの研究者が敬遠しがちであるため、体系化が遅れている領域と言えます。
そのため、概論として著された書籍でも扱う領域や観点がまちまちで、初学者は混乱する場合があります(自分がそうでした)

この本では概論に続いて、技術戦略、マーケティング、イノベーション、研究開発管理、組織などが満遍なく配置され、技術経営の全体像をバランスよく理解できます。

私が12回にわたってJETI誌に寄稿した「設計者のための技術経営」では、何度となく参照しお世話になりました。

技術系組織の長となって、事業経営への責任を担う、あるいはこれからそうなろうとするリーダーにおススメです。

「戦略的IoTマネジメント」内平直志著

投稿日 2019/04/18

本書は、北陸先端科学技術大学院教授で東京サテライト長である著者による、最新版IoTビジネス総合解説書です。

インターネットとセンシング技術の発達により、IT社会はサーバーだけでなくあらゆる物体を相互に接続し始めています。
ただしその様相はまだ混沌としており、どのあたりに落ち着くかの見極めが難しいと感じます。

本書は、技術面ではなく事業化の観点で、IoTの最新状況と中小から大企業までの豊富な事例を示し、
難しいながらも、オープンイノベーションの標準的な開発手順の設定に挑戦しています。

IoTは分かったけど、当社はいったいどうすればいいの?という様子見の方々、そしてIoT導入担当者におススメです。

「ものづくり敗戦『匠の呪縛』が日本を衰退させる」木村英紀著

投稿日 2018/09/04

 本書は制御工学の世界的権威である著者が、日本の科学・技術および製造業の課題を提起したものです。
 ページの半分以上は、太古から現代まで、特に産業革命以降の科学と技術の進展を解説しており、自然科学を応用した工学からシステムや制御など人工的な工学へ比重が推移しており、日本の産業界は、この変化に追従できていないと投げかけます。
 本人の専門が制御工学であり、完全な客観的主張とは言えないまでも、ソフトウェアの分野で日本が世界をリードしていないことは体感できます。
 官僚に理系人材が極端に少ない、数学や理論が軽視されている、情緒的な判断が多いなど、うなずける指摘も多くありました。
 これらの打開策として「横幹科学技術の重視」が提起されますが、具体的な施策にまで落とし込まれていないのが残念です。
 過去の科学・技術の歴史を概観し、広い視野で今後の潮流を考察したい研究開発企画担当者におススメします。

「設計力こそがダントツ製品を生み出す」寺倉修著

投稿日 2018/05/09

 本書はデンソーで長らく設計部門を率いた後に、コンサルティング会社を立ち上げて、10年以上に渡り多くの製造業を指導してきた著者による「設計力」の解説書です。

 御周知のように近年の製品はQCDいずれのレベルも、設計時点でほぼ決まってしまい、現場での改善は限定されます。
 本書では「ダントツ製品」を実現するための設計の考え方と方法論が、著者の企業指導経験をもとに展開されます。

 方法論は目標設定から量産設計まで多岐に及び、ものづくりが総合芸術であることにあらためて気づかされます。

 ダントツ設計力の実現を目指す部門長さんにおススメです。