書評検索結果
16件中 9~12件目
「オープンサービスイノベーション」H.チェスブロウ著
投稿日 2017/02/08
本書は、オープンイノベーションの父として知られる著者が、
製品ではなくサービス分野でのオープンビジネスを解説したものです。
もともとサービス業は製造業と異なり
事業の付加価値生産過程がほぼ丸見えであるため
また規模の効果が活かしやすいために
他社との協業関係が気づきやすい側面があります。
本書ではフェデックスやらアマゾンやら豊富な事例が示されますが
もはやオープンであることに驚きはなく、
ビジネスモデルをどう組み立てるかの自在な工夫と実行こそが
頭痛の種であると気づかされ、
製造業もその流れの中に飲み込まれつつある印象を受けます。
自由奔放なサービス業を参考にしたい戦略策定担当者におススメです。
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの イノベーションと企業家精神を読んだら」岩崎夏海著
投稿日 2016/11/23
本書は、言わずと知れた「もしドラ」の続編で、「もしイノ」と略して呼ばれるようです。
正直先日の交流会で著者の講演を聞かなければ、読み損ねていたかもしれないのですが、当社の英語名称が「Industrial Innovation Institute Inc.」である以上、このイノベーション関連書(?)を読む必然性があります。ちなみに講演会の内容は、日本国民全体の意識イノベーションを求める至極まっとうな内容でした。
前作に比べてドラッカー書からの引用が多く、解説風の記述も多いように思われました。一方野球部を題材にしているにも関わらず、小説全体の3分の2くらいまで行かないと野球をする部員は現れないという変わった構成です。
そして後半の野球試合は前作同様に荒唐無稽というべきですが、前半の一般常識をことごとくひっくり返す一連の活動は、さすが秋元康氏と共にAKB48を企画した著者だけあって予定調和を裏切り続けます。
ここまでやって初めてイノベーションであると気づかせてくれるところが本書の価値だと思いました。
革新的な新製品、あるいは業務の革新を命じられて手の付け所に困っているあなたに絶賛おススメの一冊です。
「シンギュラリティは近い」レイ・カーツワイル著
投稿日 2016/11/01
本書は、技術者、発明家であり人工知能の世界的権威である著者による、一種の未来予言書といえます。
ムーアが予言した半導体の集積度が2年で2倍になるという法則は、いずれどこかで停滞すると言われながら、その都度技術的なブレークスルーを生み出して継続しています。
これに限らず、人類がこれまで生み出したテクノロジーの進化は、本質的に加速度がついて発達してきたと著者は分析します。
この法則が継続すると、2020年には人脳の能力を超えるハードが1000ドルで手に入るようになり、2030年には人脳の機能を模写するソフトが現れ、2050年には1000ドルのPCの処理能力が全人類のそれを超えることになります。
単なる予言ではなく、全ての分析に根拠となる事実と数値的計算が付いているため、反論は「そんなはずはない」といった極めて主観的で空虚なものにならざるを得ません。
原著は2005年に出版されて、ごく一部で注目を集めていましたが、ご存知のように、まさにその後10年で加速度的にAIが発展しあたかも予言が的中していく中で次第にその認知度を上げています。
ITだけでなくバイオなどあらゆる技術進化が加速度を持つため、シンギュラリティ(特異点)を超えた世界を描写する本書の後半はSFを超えた予言に満ち溢れるため、信じるか信じないかは個人の判断に委ねられますが、わずか十数年後にこうなる「かもしれない」と身構えつつ日々の活動を考えることは、無駄ではないように思います。
目前の堕落した現実から遠いどこかに逃避してしまいたいあなたはもちろんのこと、全技術者に絶賛おススメの一冊です。
「価値づくり経営の論理」延岡健太郎著
投稿日 2016/10/18