書評検索結果
5件中 1~4件目
「メーカーズ進化論」小笠原治著
投稿日 2015/12/03
本書は都会のど真ん中にものづくり発信基地DMM.makeを作った著者が近年話題となっているIoTやメーカーズ現象についてその意味するところと将来の可能性を解説したものです。
IoTを「モノのインターネット」として狭く理解せず、モノからモノゴトへの価値の移動であると説きます。
今年10月に出版されたばかりなので、現在進行形の製品を含めて、注目のIoTプロダクトが
一通り解説されており、スタートアップの当事者にももちろん有益ですが、大手、中小製造業やサービス業の従事者にとっても自社の価値戦略を考え直すきっかけになりそうです。
「日本発・最先端“生産革命”を見る」野口恒著
投稿日 2015/03/04
本書はITの進展に伴い可能になってきたサプライチェーンの進化をVMI中心に解説したものです。サプライチェーンと言えば、末端での些細な需要変動が上流に行くほど大きくなるブルウィップ効果が有名ですが、部材供給業者と使用業者がVMIによって密に結ばれることで、不要な在庫を削減できる可能性が増えてきます。本書は数理的にその根拠を解き明かし、IBMとアルプス物流の事例で効果を示した後で、導入の手順や注意点を解説しています。
ほぼ一冊丸ごとVMIを記述した和書は他にありませんので、本件を検討している生産管理、調達担当者は必見の一冊です。
「日本の製造業、厳しい時代をクリーン化で生き残れ」清水英範著
投稿日 2015/02/05
本書の著者はセイコーエプソンの半導体事業部門でクリーン化技術アドバイザーをつとめ、クリーンルームのレベル確保、向上を通して長年ものづくりを見守ってきました。
本書における「クリーン化」とは、必ずしもクリーンルームだけを対象とはしておらず、いわゆる「5S」のやや高いレベルまでを含んでいるようです。その内容はクリーン化の技術解説が大きな柱であり、それを実現するための手順、道具、検査機から教育方法、注意事項まで事細かに説明されていますが、技術的な説明だけであれば330ページもの枚数は必要なかったでしょう。
著者が国内、中国、韓国などでクリーン化の指導を通じて体得した、ものづくり全般のあるべき論が展開されています。
製造業の現場を管理監督する人たちに、全編を通して読み汲んでもらいたい教えが一杯の一冊です。
「モノの流れと位置の徹底管理法」近江堅一,近江良和著
投稿日 2015/01/22
トヨタ生産方式導入で失敗する企業の話は良く耳にします。筆者は中小企業にはトヨタと違うトヨタ式が必要と説きます。
その違いの一つは自動車組み立てのような少品種大量生産が少ない事、もう一つは優秀な改善マンが少ないことでしょう。
トヨタ生産方式の神髄は、徹底した改善で自社に適したプロセスを漸進的に構築するところにありますが、それを進めるリーダーと担当者ともに不十分なのです。
その対策として著者はFL法という、謂わばパッケージ型の改善を提案します。これであればほとんどの生産工程に適応が可能です。筆者の20年300社におよぶ指導から生まれた改善の考え方が、本書の隅々にまでちりばめられており、それに触れるだけでも意味のある一冊と言えます。
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