書評検索結果

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「イラスト図解スマート工場のしくみ」松林光男監修

投稿日 2019/03/06

本書は生産システムを中心にものづくり革新を指導するコンサルタント集団による、最新製造業のプロセス解説書です。

製造業、工場の生産システムを設計しようとすると、ITの知識だけではなく、設計、生産、購買、品質から安全、環境まで広範な知識が必要になりますが、自社工場の「しくみ」を隅々まで知っている人は稀です。

そして、工場を「情報の発生と伝達」という切り口で整理、説明する資料も少ないように思われます。
重版を重ねてきた15年前の旧版に、近年進展の目覚ましいIoT、AIを加えて、この分野の標準解説書となる予感がします。

製造業でシステム担当を任された新人、あるいはとにかく情報視点で工場全体を概観したい方におススメです。

「科学技術計算のためのPython ~ 確率・統計・機械学習~」José Unpingco(原著)、石井一夫(翻訳)、加藤公一(翻訳)、小川史恵(翻訳)

投稿日 2017/01/16

 Pythonは、科学技術計算用ライブラリーが充実しており、人工知能、機械学習などにおいて最も頻用される汎用プログラミング言語です。本書籍はPythonの科学技術計算での活用方法について、そのライブラリーであるNumPy, ScyPy, SymPy, IPython, Matplotlib, Pandas, Scikit-learnを中心に解説したものです。
 
 すでに、他の書籍で統計学や、Pythonのプログラミングについて学んだ中上級者向けに、統計や機械学習のやや進んだ話題を取り上げています。例えば、統計では最尤推定法、ベイズ統計、モンテカルロ法など、機械学習で汎化、バイアスとバリアンス、過学習、正則化などの問題を取り上げています。
 
 他のテキストにはあまり説明のない先進的な内容が多く、機械学習の最前線を垣間見ることができる内容となっています。科学技術計算でPythonを使い倒したい人にはお薦めです。

「あたらしい人工知能の教科書 プロダクト/サービス開発に必要な基礎知識 」 多田 智史著, 石井 一夫監修

投稿日 2016/12/19

本書は、若手エンジニア向けに書かれた人工知能の教科書です。人工知能に関連することは進歩が早く、新しいキーワードが次々と出てきます。その範囲は広範に渡っており、全体を把握することは容易でありません。

本書はこれら人工知能に関連するプロダクトやサービスの開発に携わるエンジニア(プログラマ、データベースエンジニア、組込みエンジニアなど)が、最初にこの分野を敷衍するために必要な知識を集約しました。このため、顧客対応に必要な人工知能の基本的な知識を網羅しています。

IT勉強会で話題となっている新しい話題も取り込んでおり、今人工知能の分野で何が話題になっており、それらがどのようなものであるのかを、ざっくりと掴むには最適な書籍と言えます。

「シンギュラリティは近い」レイ・カーツワイル著

投稿日 2016/11/01

本書は、技術者、発明家であり人工知能の世界的権威である著者による、一種の未来予言書といえます。

ムーアが予言した半導体の集積度が2年で2倍になるという法則は、いずれどこかで停滞すると言われながら、その都度技術的なブレークスルーを生み出して継続しています。

これに限らず、人類がこれまで生み出したテクノロジーの進化は、本質的に加速度がついて発達してきたと著者は分析します。

この法則が継続すると、2020年には人脳の能力を超えるハードが1000ドルで手に入るようになり、2030年には人脳の機能を模写するソフトが現れ、2050年には1000ドルのPCの処理能力が全人類のそれを超えることになります。

単なる予言ではなく、全ての分析に根拠となる事実と数値的計算が付いているため、反論は「そんなはずはない」といった極めて主観的で空虚なものにならざるを得ません。

原著は2005年に出版されて、ごく一部で注目を集めていましたが、ご存知のように、まさにその後10年で加速度的にAIが発展しあたかも予言が的中していく中で次第にその認知度を上げています。

ITだけでなくバイオなどあらゆる技術進化が加速度を持つため、シンギュラリティ(特異点)を超えた世界を描写する本書の後半はSFを超えた予言に満ち溢れるため、信じるか信じないかは個人の判断に委ねられますが、わずか十数年後にこうなる「かもしれない」と身構えつつ日々の活動を考えることは、無駄ではないように思います。

目前の堕落した現実から遠いどこかに逃避してしまいたいあなたはもちろんのこと、全技術者に絶賛おススメの一冊です。