書評検索結果

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「進化型QFDによる技術情報の使える化」岡建樹他著

投稿日 2019/07/17

本書は、精密機器メーカで開発プロセス工学を長らく研究してきた著者による、新たなQFD活用の提案書です。

QFD(品質機能展開)は、比較的手軽に使い始めることができる割に、開発上流工程での効果が大きいために、ものづくりドットコム内でも強く利用を勧めています。

本書では従来QFDのマトリクスを内側2元表と呼び、これに対して外側二元表という新たな概念を設定することで、これまでは表現できなかった効果を提示します。

それによって従来個別に利用されてきたFMEA、TRIZ、品質工学などとも連携し、システマチックな運用が可能とします。

若干複雑で、私も理解しきれていませんが、既にQFDを利用していてまだ十分効果を出しきれていないと感じる上級者におススメです。

「タグチメソッド入門」田口伸著

投稿日 2016/10/04

本書は、タグチメソッドをほぼ独力で築いた故田口玄一氏の実子である筆者による初めての単著です。

何度か繰り返していますが、タグチメソッドは設計者に留まらずあらゆる産業人にとって極めて強力なツールですが、その革新性があだとなって、理解に多大な時間と労力を要求されます。何とかその障壁を下げることが、産業界における大きな課題なのです。

先日本書出版を記念した著者の講演会に参加しましたが、聴講している一般の人たちに分かりやすく話そうと工夫している様子が印象に残りました。
自分が考えたこと、思うことをそのまま表現していた父親の話しぶりとは好対照です。

本書の中にもその工夫の跡は明らかです。エキスパートにとって、さほど目新しい項目はないかもしれませんが、初学者が多くの実例に触れながらタグチメソッドに慣れるには、ちょうど良いように思われます。

父田口玄一の著書に打ち砕かれて、リベンジを誓う初学者の参考書としておススメです。

「続・技術者の意地」長谷部光雄著

投稿日 2015/08/21

本書は品質工学の有効性を小説風に解説して好評を博した「技術者の意地」の続編です。前作では仮想メーカーの開発現場を舞台に、多くの技術屋が「あるある」風に抱える開発設計の問題をステップを追いながら解決していく物語でした。

この続作では、製造工場の中国移設を計画中の組織が日本と中国の生産現場の違いを検討する中で品質工学を学びながら、技術の本質を理解していく課程をやはり小説形式で解説していきます。

底流には市場問題を設計開発段階で未然防止する品質工学と、作業基準を守る事で問題発生を防止する品質管理の融合という重いテーマがありますが、「あるある」の例話に乗せられてすーっと理解できるところが嬉しいところです。

設計と製造の狭間で悩めるあなたにおススメの一冊です。

「SQC理論と実際」圓川隆夫、宮川雅巳 著

投稿日 2013/06/05

SQC(統計的品質管理)の参考書と言えば、数式を使った説明がどっと並んで
いるものもあるが、本書は厳密な解説というよりも実用にあたっての重要
事項を重点的に解説しています。
構成は3部からなっており、第1部基礎編ではSQCで重要な「層別」を
重点的に説明し、第2部工程の管理解析編では、分析の目的を要因解析型と
内部関連型に大別して各種のツールを解説し、第3部実験研究編では
実験の計画から解析にかけて、筆者なりに合理的とステップと方法論を
解説しています。
今から20年以上前の書籍にも関わらず、第3部にはタグチメソッドの考えを
大きく取り入れた先進的な内容と評価されます。