商品説明
2017年は、半導体の量産化が始まって40年となります。それは、GCA社がステッパ(g線NA0.28)を1977年に上市し、それまでのコンタクト・プロキシミティ露光から、縮小投影露光方法に切り替わったことに由来します。ステッパの登場によりパターン寸法の微細化と、半導体の量産性が飛躍的に伸びました。まさに1977年はリソグラフィ技術の飛躍の原点と言えるでしょう。そこで、リソグラフィ技術40年の歴史を振り返り、今後のリソグラフィ技術の展望を考察する著書を、今、この時期に刊行することは意義深いことだと思います。また、リソグラフィ技術の黎明期を知っている著名な研究者の先生方も、いよいよリタイアされる年齢でもあり、貴重な経験談や資料が失われつつあります。そこで、それら著名な先生方に、リソグラフィ技術のそれぞれのターニングポイントについて、それらをどう乗り越えて来られたのかを執筆いいただきたいと考えました。このような趣旨から、それぞれのターニングポイントにおいて、そのパイオニア的な先生方に、材料開発の歴史、往時の苦労話などを語っていただきました。歴史を振り返るだけではなく、若い研究者の方々に、研究に夢を持っていただける様な内容に仕上がったのではないかと思っております。(企画担当 関口 淳)
※編集部注 ⇒ 内容は歴史解説だけではありません。最新・最近の研究まで的確に解説されています。
発刊にあたって
【企 画】
関口 淳 / リソテックジャパン(株)
【執 筆】
岡崎信次 / ギガフォトン(株)
田中初幸 / メルクパフォーマンスマテリアルズマニュファクチャリング(同)
花畑誠 / 富山県立大学
鴨志田洋一 / 神奈川大学
野崎耕司 / 富士通(株)
渡邊健夫 / 兵庫県立大学
関口淳 / リソテックジャパン(株)
Chris A. Mack / Lithoguru.com
上野巧 / 信州大学
内容紹介
第1章 半導体リソグラフィ技術の発展(40年の歴史を振り返って)
岡崎信次
1. はじめに
2. 光リソグラフィ技術の発展
2.1 コンタクト露光から縮小投影露光法へ
2.2 DRAMのメモリーセル構造と焦点深度の確保
2.3 解像度向上技術の開発
2.4 水銀灯光源からエキシマレーザ光源へ
2.5 ArFエキシマレーザ露光とスキャナーの導入
2.6 周辺技術の進化とさらなる短波長化の取り組み
2.7 液浸露光技術
3. 電子線リソグラフィ技術とマスク描画技術
3.1 マスクレスリソグラフィ技術(ML2技術)
3.2 マスク描画技術
4. 光リソグラフィ技術の限界とその突破技術
4.1 光源形状やマスク形状の最適化技術
4.2 マルチプルパターニング技術
5. EUV リソグラフィ技術
5.1 露光波長の選択
5.2 光源の開発
5.3 その他のEUVリソグラフィ技術の課題
5.3.1 Focus Area
5.3.2 多層膜マスク技術
5.3.3 EUVペリクル技術
6. その他のポスト光リソグラフィ技術
6.1 ナノインプリント技術
6.2 DSA技術
7. まとめ
第2章 g線レジスト開発と歴史
田中初幸
1. はじめに
1.1 半導体デバイスの高集積化
1.2 電子機器との関わり
2. レジスト材料技術との関わり
2.1 環化ゴム系ネガ型フォトレジスト
2.2 当時の試験環境
2.2.1 フォトリソグラフィ工程
2.2.2 レジストパタンの観察
2.2.3 露光装置・アライナー
2.2.4 露光機・ステッパ
3. DNQ /ノボラック樹脂型ポジレジスト
3.1 DNQ感光剤の起源
3.2 DNQ /ノボラック樹脂型ポジレジストのケミストリー
3.2.1 DNQ感光剤(PAC)
3.2.2 g線レジストに使用されるPAC
3.2.3 ノボラック樹脂
3.2.4 DNQ /ノボラック樹脂の相互作用
3.2.5 g線レジストの高解像化
3.3 プロセスによる高解像力化の検討
3.3.1 PEB(Post Exposure Bake)
3.3.2 表面難溶化層形成法
3.3.3 CEL(Contrast Enhancement Lithography)法
4. あとがき
第3章 i線レジスト開発と歴史
花畑 誠
1. はじめに
2. ノボラック・DNQ 型レジストの組成と像形成機構
3. 高解像度化の指針
3.1 コントラスト
3.2 表面難溶化層
3.3 透明性の向上
4. ノボラック樹脂の設計
4.1 ノボラック樹脂の因子と高解像度化
4.2 「石垣モデル」と添加物の効果
4.3 二次構造を制御した新規ノボラックの分子設計
5. 感光剤の設計
5.1 g線レジスト用感光剤
5.2 i線レジスト用感光剤の設計指針
5.3 i線レジスト用感光剤の分子設計
6. おわりに
第4章 KrFレジストの開発と歴史
鴨志田洋一
1. はじめに
2. Deep UV レジスト開発の歴史的背景
3. KrF レジスト開発の背景
4. KrF エキシマレーザ縮小投影露光装置
5. 化学増幅型レジスト
6. 光酸発生剤(PAG)
7. ポジ型KrF レジスト
7.1 化学増幅型レジストの提案
7.2 プロセス安定化対策
7.2.1 表面難溶化層
7.2.2 露光後放置時間依存性
7.2.3 基板依存性
7.2.4 PEB温度依存性
7.3 材料の設計品質改良
8. ネガ型KrF レジスト
9. 化学増幅型レジストを実用化するための新たな課題
9.1 化学機械研磨
9.2 反射防止膜(Anti-Reflective coating; ARC)
10. 実用化されたKrF レジスト
11. まとめ
第5章 ArFレジスト開発と歴史
野崎耕司
1. はじめに
2. アクリル系レジスト
2.1 ArF 光に対する透明性とドライエッチング耐性の両立
2.1.1 KrFレジストの特徴と課題
2.1.2 PMMAレジストの特徴と課題
2.1.3 樹脂のドライエッチング耐性
2.1.4 富士通Version 1レジスト
2.1.5 脂環族アクリル系レジストへの各社の取り組みとその課題
2.2 Version 1レジストの課題
2.2.1 基材樹脂の疎水性
2.2.2 感度とドライエッチング耐性
2.2.3 新保護基の分子設計のコンセプト
2.2.4 Version 2レジストの開発
2.2.5 Version 2レジストの露光評価
2.3 Version 3レジストに向けた新しい保護基の開発
2.3.1 疎水性とレジストパターンの基板密着性
2.3.2 高極性保護基の分子設計
2.3.3 1─アダマンチル基への酸脱離性付与
2.3.4 透明性,ドライエッチング耐性,およびArF露光評価
2.3.5 親水性─疎水性バランス向上によるパターニング特性の改善
3. そのほかの樹脂プラットフォームによるArF レジストの開発
3.1 COMA系レジスト
3.1.1 交互共重合系レジスト
3.1.2 ハイブリッド系レジスト
3.2 CO系レジスト
3.2.1 ポリノルボルネン系レジスト
3.2.2 ROMP系レジスト
3.3 VEMA系レジスト
4. ArF 液浸レジスト
4.1 ArF液浸リソグラフィ技術
4.2 ArF液浸レジストの課題とトップコート
4.3 ArF液浸レジスト材料
5. おわりに
第6章 EUVレジスト開発と歴史
渡邊健夫
1. はじめに
2. EUVリソグラフィとは
3. EUV用露光装置開発
4. レジスト先行開発用EUV干渉露光
5. EUVレジスト開発
5.1 露光感度測定
5.2 EUV用酸発生材内包型化学増幅系レジスト
5.3 アウトガス評価
5.4 EUVレジストの光学定数の測定
5.5 軟X線吸収分光法を用いたEUVレジストの反応解析法の開発
6. おわりに
第7章 半導体黎明期~ ステッパ開発の歴史とその後
関口 淳
1. はじめに
2. GCA 社の歴史
3. GCA 社ステッパの開発の歴史
4. 各ステッパメーカーの歩み
5. ステッパの登場と定在波効果
6. まとめ
第8章 リソグラフィシミュレーションの40年
Chris A. Mack(訳:関口 淳)
1. はじめに
2. リソグラフィシミュレーションの必要性
3. 初期の時代
4. PROLITH の時代
5. 光近接効果補正と計算リソグラフィ
6. 結論
第9章 リソグラフィ技術の進む先
上野 巧
1. はじめに
2. リソグラフィ技術がもたらしたLSIの進展による生活の変化
3. リソグラフィとレジストの動向
3.1 第一の転換点
3.2 第二の転換点
3.3 第三の転換点はいつか
3.4 第一の転換点でみるリソグラフィの予測の難しさ
3.5 第二の転換点KrFリソグラフィにおける幸運
3.6 化学増幅系レジストとDNQポジ型フォトレジストへの要求
3.7 登場しなかったリソグラフィ
4. これからのリソグラフィとレジストを考える
4.1 LSIの進展
4.2 今後のリソグラフィ
4.3 LSIリソグラフィと実装
4.4 レジスト開発の今後
4.4.1 光を用いること
4.4.2 レジストの役割
4.4.3 レジストの現像機構
4.4.4 分子サイズの考察
4.4.5 レジストの開発の難しさ
5. おわりに