長期信頼性・高耐久性を得るための 接着/接合における試験評価技術と寿命予測
構成
B5判並製本 326頁
分野
生産マネジメント > 生産工学
価格
60,500円 (税抜 55,000円) 1点 在庫あり
商品説明
~接着部改善&劣化対策へ!高品質保証のための最善の一手!~
接着界面を知り、メカニズムを知り、高強度・ばらつきのない・耐久性に優れた接着/接合のために必要な信頼性評価。
劣化要因は?この接着/接合を製品に適応した場合、何年もつ?
あいまいな判断では絶対になし得ない高品質保証のために。
界面の分析/表面処理/加速試験(熱、湿気、ストレス)/クリープ試験から
解析、評価方法や分析事例、寿命予測まで、高信頼性接着のための試験評価技術に特化!
発刊にあたって
三刀 基郷 | 接着技術コンサルタント |
平原 英俊 | 岩手大学 |
柳原 榮一 | 神奈川県技術アドバイザー |
鈴木 靖昭 | 元 中部大学/名城大学 |
原賀 康介 | (株)原賀接着技術コンサルタント |
松岡 敏成 | 三菱電機(株) |
山際 正憲 | 日産自動車(株) |
接着/接合の高品質保証のために特化した1冊
<ポイント>
1.~接着/接合のメカニズムと表面界面を知る!~
・分子と分子はどのように引き合う?
・界面自由エネルギーと表面自由エネルギーの関係は?
・高信頼性接着のためには、まずは界面を知るところから始まる!
2.~どの表面改質が高信頼性接着に必要?~
・材料ごとに分けられた適切な表面処理法を細かく解説
・それぞれの表面処理がもたらす効果は?
3.~劣化要因を知り、加速試験による評価法を理論的に習得!~
・温度、湿度、クリープ、疲労、、、故障発生のメカニズムとは?
・各劣化要因による加速試験!試験結果からの評価は?
4.~寿命予測を踏まえ、実例を多用した信頼性評価!~
・各劣化要因とそれを踏まえた寿命予測法を詳細に解説
・耐用年数経過後の安定率はどれぐらい?また、どう予測する?
5.~電子・電気機器、車載機器の信頼性評価の事例から学ぶ!~
・電子部品の寿命に与えるストレスの多様化に対応する!
・ユーザーが期待する寿命を検証するための解析手順を公開
・実装技術の高耐熱化は必要不可欠!車載機器からの観点による熱疲労信頼性評価
<本文抜粋>
接着接合の作業そのものは特別な熟練技能や高度な設備を必要とするものではないため,簡単な教育や研修だけで実施されていることが多い。「見よう見まね」で接着剤を使っているというのが現実である。
接着強度が高く,強度のばらつきが少なく,耐久性にも優れた接着を高信頼性接着という。接着接合は,完成後の検査はほとんどできないため,高信頼性接着を行うためには,設計段階での材料,構造,プロセス,設備,品質管理法の作り込みと,作業段階における工程管理,プロセス内検査が重要である。しかし,どのような点に注意して作り込めば良いのかについてはあまり知られていない。例えば,接着に適していない表面状態の部品を接着しても良好な接着性能は得られない……(第5章第1節より)
使用環境が多様化することで,同じ電子部品でも使用中に印加されるストレスに応じて顕在化する故障が変化し,電子部品の寿命を予測する場合には,実際の使用環境情報を考慮に入れることが従来以上に重要になっている。どのようなストレスがどれほどの強さで印加される環境であり,そのようなストレスに対して,どれだけの耐性を持った電子部品であるかを見極めておかなければならない。そのストレスの強さと耐性のバランスの結果として,最も寿命が短くなる故障モードが,実際に市場で顕在化しやすくなっている。このことは,規格化された一定の試験条件と試験時間の範囲において故障が発生しないことを確認しただけでは,実際の市場での寿命を正確に予測することが困難になっていることを意味しており,そのような規格の試験で合格したものでも,ユーザーが廃却する前の使用中の段階で顕在化する故障がなくならないと言う問題を残す原因の一つにもなっている……(第6章より)
内容紹介
はじめに
1. 表面の科学
1.1 分子間力と接着
1.2 分子と分子の相互作用
1.3 分子と分子が引き合う力
1.3.1 永久極性効果(Keesom 効果)
1.3.2 誘起極性効果(Debye 効果)
1.3.3 分散力効果
1.4 水素結合力
1.5 分子間力の力比べ
1.6 分子間力と表面
1.6.1 表面自由エネルギー
1.6.2 表面張力
2. 界面の科学
2.1 界面自由エネルギー
2.2 グッド-ギリファルコの提案
2.3 フォークスの提案
2.4 拡張フォークス式
3. 接着の科学
3.1 接着仕事(Work of Adhesion)
3.2 液体-液体間の界面相互作用エネルギー
3.3 液体-固体間の界面相互作用エネルギー
3.3.1 ぬれと分子間力
3.3.2 接触角(Contact Angle)
3.3.3 固体-液体間の相互作用エネルギー
3.3.4 ぬれの限界:臨界表面張力(Critical Surface Tension)
3.3.5 固体-固体間の相互作用エネルギー
おわりに
第2章 接着界面観察における分析機器の活用とその分析法
はじめに
1. 表面分析方法の分類
2. 各種表面分析機器の特徴と活用方法
3. 表面処理剤の化学状態分析
4. シランカップリング剤の吸着重量の測定
5. ゴムと金属の接着界面分析
6. 樹脂と金属の接着界面分析
7. 表面処理剤の安定化とはく離現象に関わる因子
おわりに
第3章 接着剤の表面処理と解析評価及び信頼性・耐久性との関係
はじめに
第1 節 接着接合に必要な表面処理技術
1. 表面処理の必要性とその効果
2. 洗浄・研磨
3. 薬品処理
3.1 金属
3.2 プラスチック
4. 活性ガス処理
4.1 金属
4.2 プラスチック
5. プライマー処理
第2節 被着材への具体的な効果
はじめに
1. 金属
1.1 アルミニウム
1.2 ステンレス鋼(SUS)
1.3 鉄鋼
1.4 その他
1.4.1 チタン
1.4.2 マグネシウム
1.4.3 銅・銅合金
2. プラスチック
2.1 ポリオレフィン(PE, PP など)
2.2 ポリアミド(PA)
2.2.1 次亜塩素酸法
2.2.2 プライマー法
2.3 フッ素樹脂(PTFE, PFA など)
2.3.1 金属ナトリウム処理
2.3.2 スパッタ処理
2.3.3 レーザー処理
2.4 PEEK
2.5 ポリイミド(PI)
2.6 その他
2.6.1 変性PPE
2.6.2 POM
3. ガラス・セラミック
第3節 表面の解析技術
1. X 線光電子分光法(XPS 法)
1.1 金属
1.2 プラスチック
1.3 ガラス・セラミックス
2. 接触角
3. ぬれ指数
おわりに
第4章 劣化要因と各条件における耐久性加速試験
はじめに
第1節 接着接合部劣化による故障発生のメカニズム
1. 経年劣化による故障の発生について
2. 正規分布について
3. ストレス(負荷応力)が一定の場合の接着継手の故障確率の確保のために必要な安全率の決定
4. ストレス(負荷応力)が変動する場合の接着継手の故障確率の確保のために必要な安全率の決定法
第2節 加速試験と加速係数
第3節 温度による加速
1. 化学反応速度式と反応次数
2. 濃度と反応速度との関係
2.1 0次反応の場合
2.2 1次反応の場合
2.3 2次反応の場合
3. 材料の寿命の決定法
3.1 寿命到達時が明確な場合
3.2 材料の物性が低下して実用に供さなくなる場合
4. 反応速度定数と温度との関係
5. アレニウス式を用いた寿命推定法
6. 熱劣化における加速係数
第4節 温度,湿度,及びストレスによる加速
1. アイリングの式を用いた寿命推定法
2. アイリング式を用いた湿度に対する耐久性評価法
2.1 絶対水蒸気圧
2.2 相対湿度モデル1
2.3 相対湿度モデル2(Lycoudesモデル)
3. Sustained Load Test
3.1 接着剤A(一液性120℃/1h硬化エポキシ系)の場合
3.1.1 継手の活性化エネルギーEaの算出
3.1.2 アレニウス式による応力負荷条件下の接着継手の室温における寿命の推定
3.1.3 アイリング式の次数nの算出
3.2 接着剤F(二液性60℃/3h硬化エポキシ系)の場合
3.3 フィルム型接着剤(177℃ 加熱硬化 ノボラック・エポキシ系)の場合
第5節 繰返し応力による加速(疲労)
1. 接着継手の引張せん断疲労特性試験方法
2. アイリングの理論から誘導されるS-N曲線
3. マイナー則(線形損傷則)
4. スポット溶接-接着併用継手の応力解析及び疲労試験結果
4.1 スポット溶接-接着併用継手の応力解析
4.2 接着継手及びスポット溶接-接着併用継手(ウェルドボンディング)の疲労試験結果
5. リベット-接着併用継手(リベットボンディング)の疲労試験結果
第6節 クリープ破壊
1. 大変形クリープの一般的特性
2. クリープ破壊強度,破壊時間,温度間の関係式(ラーソン-ミラーの式)
3. クリープ破断データからラーソン-ミラーの式を求める方法
3.1 visual-fit法
3.2 統計的解析法-1
3.3 統計的解析法-2
4. プラスチックのクリープ試験におけるラーソン-ミラー線図
5. JIS K6859 接着剤のクリープ破壊試験方法
おわりに
第5章 高信頼性接着の基本条件と耐久性評価及び寿命予測
第1節 信頼性の高い接着を実現するための正しい基礎知識
はじめに
1. 高信頼性接着の基本条件
1.1 良い破壊状態と良くない破壊状態
1.1.1 凝集破壊と界面破壊
1.1.2 凝集破壊率
1.2 接着強度のばらつきの指標
1.2.1 変動係数CV
1.2.2 変動係数CV と凝集破壊率
1.3 接着強度の実力値
1.4 沢山接着した時の最低強度はどのくらいか
1.4.1 接着強度の分布
1.4.2 正規分布の場合の最低強度の上限値
1.4.3 最低強度の上限値p を簡単に求める
1.5 最低強度をどのくらいに抑えれば良いか
1.6 高信頼性接着の基本条件
2. 「接着は難しい」と感じるわけ
3. やさしい接着のメカニズム(接着の過程)
4. (STEP1)接着剤の塗布
5. (STEP2)接着剤の分子と被着材料の表面の分子の距離を近づける
6. (STEP3)被着材料表面への接着剤の濡れ広がりと結合力の発生
6.1 接着の結合力の基本(分子間力)
6.2 表面張力
6.2.1 表面張力について
6.2.2 被着材料の種類と表面張力
6.2.3 毛細管現象と浸透接着
6.2.4 固体の表面張力の評価方法
6.3 最も強い分子間力(水素結合)
6.4 接着しにくい表面を接着しやすい状態に変える(表面処理)
6.4.1 一般環境中での物質の表面状態
6.4.2 弱境界層(WBL 層)の除去
6.4.3 安定で接着しにくい表面の活性化
6.4.4 機械的方法による粗面化の効果と問題点
6.5 油面接着性接着剤
6.6 被着材料表面の極性を高くして表面張力を高くする(表面改質)
6.6.1 表面改質の目的
6.6.2 表面改質の方法
6.6.3 表面改質のメカニズム
6.6.4 表面改質と作業環境(湿度)
6.6.5 表面改質後の接着可能時間
6.7 プライマー,カップリング剤塗布による表面処理
7. (STEP4)接着剤の固化
8. (STEP5)接着層での内部応力の発生
8.1 接着層での内部応力
8.1.1 硬化収縮応力
8.1.2 加熱硬化における熱応力
8.1.3 接着層での内部応力
8.2 内部応力によって生じる諸問題
8.3 内部応力の発生と緩和のメカニズム
8.3.1 硬化収縮応力の発生メカニズム
8.3.2 熱応力の発生メカニズム
8.3.3 内部応力の緩和
8.4 内部応力を小さくするには
8.5 接着部の形状と内部応力
8.5.1 接着剤層の厚さ調整
8.5.2 勘合接着における内部応力
9. (STEP6)接着機能の維持と劣化(環境・応力劣化)
9.1 接着部の劣化に影響を及ぼす諸因子
9.1.1 環境的因子
9.1.2 応力的因子
9.1.3 環境・応力の複合因子
9.2 接着部の弱点
9.3 第3 の内部応力(吸水膨潤応力)
おわりに
第2節 接着耐久性の評価と寿命予測法
1. 接着接合における劣化の要因
1.1 熱
1.2 ヒートサイクル,ヒートショック
1.3 水分
1.4 薬品
1.5 光
1.6 継続荷重(クリープ)
1.7 繰り返し荷重(疲労)
2. 寿命予測の鉄則
3. 熱劣化による長期経時変化の予測法
3.1 アレニウスの反応速度式
3.2 アレニウス法による長期熱劣化の予測例
4. 水分による劣化と経時変化の予測法
4.1 接着部への水分の拡散による水分劣化
4.2 吸水後の乾燥による接着強度の回復性(乾燥可逆性)
4.2.1 水分劣化の原因と乾燥による回復性
4.2.2 乾燥後の接着強度評価の重要性
4.2.3 被着材料の種類と乾燥による接着強度の回復性
4.3 接着部の形状・寸法と耐湿性
4.3.1 接着部の面積と外周の長さの影響
4.3.2 接着部の幅と劣化の速度
4.4 長期耐湿劣化の推定法
4.4.1 アレニウス法による推定
4.4.2 有限要素法解析による推定
5. 屋外暴露における長期経時変化の推定法
5.1 屋外暴露における劣化の要因
5.2 屋外暴露劣化の予測方法
5.2.1 予測の考え方
5.2.2 屋外暴露における経時変化の予測法
6. クリープによる劣化と破断時間の予測法
6.1 応力負荷装置
6.2 クリープ耐久性に及ぼす水分の影響
6.3 クリープ耐久性の改善方法
6.4 長期クリープ耐久性の予測方法
6.4.1 温度-時間換算による方法
7. 繰り返し疲労による劣化と時間強さの予測法
7.1 疲労耐久性の評価方法
7.2 接着の疲労特性に影響を及ぼす因子
7.2.1 温度
7.2.2 周波数
7.2.3 両振りと片振り
7.2.4 凝集破壊率
7.3 疲労特性の改善方法
7.4 時間強さの求め方
第3節 製品の耐用年数経過後の安全率の裕度の定量化法
はじめに
1. 接着強度の経年変化の概念
2. 耐用年数経過後の安全率の裕度の算出法
2.1 評価のプロセス
2.2 耐用年数経過後の安全率の裕度の基本的算出法
2.3 応力負荷試験を高温下で実施する場合の算出法
3. 耐用年数経過後の安全率の裕度の算出事例
3.1 接着部の要求条件と評価試験条件の最適化
3.1.1 接着部の要求条件と評価条件への落とし込み
3.1.2 ヒートサイクル試験
3.1.3 熱劣化
3.2 評価試験結果
3.2.1 初期の平均接着強度FμR0 と変動係数CV0を求める
3.2.2 耐用年数経過後のばらつき係数Dyを求める
3.2.3 温度係数ηT0を求める
3.2.4 耐用年数経過後の複合劣化係数ηyを求める
3.3 耐用年数経過後の複合劣化係数ηyを求める
3.4 実効接着強度Fyを求める
3.5 耐用年数経過後の安全率の裕度Sy を求める
3.6 安全率の相違について
4. 安全率の裕度の再配分
5. 設計段階における劣化係数の見積り
おわりに
第6章 品質保証のための電子部品の信頼性試験
はじめに
1. 電子部品の寿命分布の特徴
1.1 理想的な寿命分布
1.2 全数検査が必要な寿命分布
1.3 信頼性試験で検証する寿命分布
2. 摩耗故障の寿命分布の検証
2.1 試料数と不信頼度
2.2 計数抜取試験の試料数と試験時間
2.3 計量抜取試験の適用
3. 電子部品の信頼性試験結果の解析事例
3.1 はんだ耐熱性試験
3.2 はんだ接合部の寿命予測
おわりに
第7章 高耐熱実装における接合部の熱疲労信頼性評価
はじめに
1. 高耐熱モジュールの課題
1.1 高温化への期待と技術課題
1.2 はんだ代替技術とその問題点
1.3 高信頼性・高耐熱実装コンセプト
2. 新構造の熱応力に対する信頼性評価
2.1 応力緩和の可能性
2.2 接合部の寿命予測
2.3 高耐熱薄膜接合層のせん断強度評価
3. Ag 接合層の信頼性評価
3.1 Ag ナノ接合法の特徴
3.2 Ag 接合層の非破壊評価法
3.3 Ag 接合層の熱疲労信頼性評価
おわりに