今まで、何処でも誰でも使えるTRIZツールづくりを試行してきました。その過程で、抽象化思考の苦手な人が、意外に多いようです。現場では、課題だけでなく、発明原理の活用にも抽象化思考が求められます。この最新版は、各々の感性に合せ、無意識的に拡大(抽象化)/縮小(具体化)できるよう工夫しました。つまり、原理名、言い換えた分かり易い文言、サマリー、サブ原理の図解、異分野適用例の5段階の視点でアイデア出しします。
1. フィードバック原理の概要
基準値に対して高いか低いかを検出して、基準値に近づけるように制御する考え方です。例えば、制御回路で、基準値を保つためのフィードバック制御が代表例となります。
図1 23フィードバック原理のイメージ図
2. サブ原理の種類と図解事例
a.フィードバックを導入して、プロセスや作用を改善する考え方
スマートフォンの通知機能は、UIの右上に数字で表示されます。これも、フィードバック機能の一種です。
図2 スマートフォンの通知機能
b. フィードバックをすでに使用している場合、その程度や要求条件を変えられる考え方
ラジコン用の自動操縦装置には、航空機と同じように、気象条件に合わせて操縦できる複数の感度調整センサーが付けられています。
図3 ラジコンの自動操縦(参考文献:Wikipedia HP)
3. HW、SW及びビジネス等分野での適用例
・サーモスタット
・システム開発設計のスパイラルモデル
・人材育成策で、人事評価結果を本人にフィードバック
4. 40の発明原理の主な活用法
a.慣習的に使われている方法
問題が発生したときは、パニックになったりして精神的な余裕がないようです。矛盾問題として捉え、課題を抽象化してから矛盾表から発明原理を検索するには、かなりの訓練が必要です。推薦したいのは40の発明原理に日ごろから親しんでおくこと。あるいは、真の目的または根本原因を確認後、関連しそうな発明原理を全部スキャンして発想すること。TRIZそのものを理解していなくても、藁にもすがりたい人には、強力なヒントとなります。
b.矛盾Matrixから発明原理を抽出する方法
矛盾 Matrix表の縦横の軸には、39×39の特性(パラメータ)が配置されています。課題を抽象化して、縦軸から「改善する特性」、横軸から「悪化する特性」を選ぶと、両者の交点に「発明原理(principle)」が提示されます。 この発明原理をヒントに解決策を発想します。例えば、改善する特性で「移動物体の体積」、悪化する特性で「移動物体の面積」を選ぶと、矛盾 Matrix表の交点に、「01分割原理」「04非対称原理」「07入れ子原理」「17他次元移行原理」を確認できます。
参考文献
1. Darrell Mann 他:TRIZ実践と効用(1)体系的技術革新(創造開発イニシアチブ)
2. 粕谷茂:図解これで使えるTRIZ/USIT(日本能率協会)
3. 粕谷茂:SEのスピード発想術(技術評論社)
◆関連解説『TRIZとは』
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