1. TRIZ適用事例が少ない分野
TRIZは、本来、課題を抽象化してからアイデア出しする技法ですから、各々のTRIZツールは専門領域を問わないことになっています。しかし、世界に普及しはじめた段階で、ソフトウェア、生物、化学、ビジネスなどの分野では事例が少なく、理解しにくい面がありました。
TRIZの事例は、特許から抽出したため、特許の多い半導体分野の事例が多く、半導体以外を専門とする技術者には、難解であると思われていました。特に、ソフトウェア、ビジネス、生物分野の事例は、特許事例が極めて少なく、40の発明原理事例として紹介されていませんでした。
今では、ソフトウェアやビジネス分野の事例については、ダレル・マンの書物や筆者の書物等に、多数の事例を紹介されていますので、違和感なく取り組めるのではないでしょうか。
2. TRIZの40の発明原理の生物分野ミニ事例
今でも生物、化学分野については、書籍化されたものがなく、扱いにくいテーマであることは確かです。それとは裏腹に、エンジニアリングシステムと自然の営みの間には、多くの類似性があると確認されています。生物学的視点でも、抽象化とアナロジーを駆使してアイデア出しが可能なのです。米国のAli Reza Mansoorianらが、生物分野に特化した40の発明原理を紹介しています。生物分野の事例が見たい方のために、彼らが提起した40の発明原理事例のいくつかを表1に示します...