1.USITとは
Unified Structured Inventive Thinking(統一モデルによる構造的発明思考法)の頭文字を並べたもの。”ユーシット”と呼びます。現代版TRIZの一つで、TRIZを実践する方法です。高価なソフトに頼らず、また、TRIZの複雑なトレーニングを受けていない技術者でもTRIZに取り組むことができる手法です。 ”系統化されたTRIZ”とも言います。
2.USITのステップ
TRIZを実践的に進める方法であるUSITは、次の順で進めます。
1) 課題定義 :本当に解決すべき事(課題)を明確にします
2) 問題分析 :現状と理想状態とのギャップを生み出しているキーワードを得ます
3) 解決策の生成 :上記「キーワード」と図1の「USITアイデア発想の視点」から
解決策を導きます。
4) 優先順位の決定:多くの解決策に優先順位を付け開発のステップを作成します。
図1.USITアイデア発想の視点
これらを表にまとめた「USITフローチャート」を以下に示します。
3.USITの歴史
G.Altshullerの教えを受けた弟子たちが、1980年代に旧ソ連の崩壊前後に西側諸国に流出しました。その中で、イスラエルに行った Filkovsky が「SIT( Systematic Inventive Thinking )」を開発し、Kowalick によって改良されました。これをFord社のDr.Sickafusが更に企業内技術者むけに利用し易い形に改良を加えて「USIT (Unified Structured Inventive Thinking)」として確立。TRIZの現代化(Contemporary TRIZ)の中で、USITは"TRIZを系統化"して、迅速・容易に実地適用できるようにしたものです。
4.USITの特徴
システム記述の概念が簡単・明快 で、「モノ(構成因子)」「性質」「機能」の概念でシステムを考えます。複数のコンセプトを迅速に生成します。そのために、問題分析の明確なプロセスを持ちます。
(1)問題分析の手順
1.課題定義
2.モノ(構成因子)/性質/機能 による分析
3.理想モデルによる分析
4.時間・空間の特性分析
ここから問題を考え課題達成に必要な「キーワード」を得ます。
(2)問題解決技法を大幅に簡略化
・3種類の技法+体系化+組み合わせ
このために「アイデア発想の視点」が用意されています。上記の「キーワード」ごとに図1の「USITアイデア発想の視点」を用いてアイデアを出します。又、ソフトツールを使わないでも問題解決ができ、技術者が容...