今回は、顧客満足に有効な商品コンセプト調査として、コンジョイント分析を解説します。
1. コンジョイント分析の概要
コンジョイント分析は新商品案を決めるのに、顧客の客観的な評価から機能や仕様を具体化する方法です。「ゴミが出なく、身体の疲れが取れて入浴中も楽しい入浴剤」は、市場にはなく顧客価値も創造しているから新商品のコンセプトになりますが、
・どのようにゴミが出ないのか?
・どういう成分が入っていて、
・どのように楽しい入浴剤か、
・価格はどのくらいなのか、
商品スペック手前の商品コンセプトの落としどころの顧客価値を確定したいでしょう。コンジョイント分析を知らないと、先ほどの入浴剤コンセプトについて、次のようなアンケートを取りがちです。
商品コンセプトの重視度を聞きます。
・ゴミが出ない入浴剤を重視しますか?
・草津温泉の成分が入っている入浴剤を重視しますか?
・疲れが取れるしょうが成分が入っている入浴剤を重視しますか?
・価格は重視しますか?
顧客は無い物ねだりですので、上記の重視度は聞くとすべて重要と答えがちです。価値の差が見えず優先順位が決まりません。コンジョイント分析は、計画的にコンセプトの要素を動かして、種々の組み合わせを作り、顧客にアンケート形式で、組み合わせ案を提示してその評価をしてもらい、顧客が最も良い顧客価値を得られる商品コンセプトを決める手法です。
2. コンジョイント分析の設計
属性は動かすコンセプトの要素、水準はその中で変化する具体的仕様やレベルになります。入浴剤の例ですと、属性:5個、水準は2水準です。
属性 : 水準
・パッケージ:中から出てきて溶ける、通常の小袋入り
・色と効果 :一定、途中から変わる
・音 :泡のような音が出る、音は出ない
・形 :キャラクター、図形
・価格 :10個入り400円、5個入り400円
属性と水準が決まったら、次のように直交表に割り付けます。
3. 直交表とは
まず前提として、次のように総合評価は価値の和で表すモデル式を考えます。
総合評価=平均値+パッケージの顧客価値
+色と効果の顧客価値
+音の顧客価値
+形の顧客価値
+価格の顧客価値
これらの顧客価値が数字化されると、各属性の重要度や最良な組み合わせがわかり、企画者の問題解決に役立ちます。また、価値の和が総合評価という定義は市場の原則に則ります。今回の5属性、2水準ですべての組み合わせ案を作ると、2×2×2×2×2=2の5乗=32通りの組み合わせなります。32案を顧客に評価してもらうのはなかなか厳しく、これを少ない組み合わせで32案を評価したのと同じ結果を得られる方法、これが直交表になります。
直交表は元々、品質管理の中での実験計画法で用いられていたものです。これを商品企画である顧客価値創造にも活用し、応用するために商品企画七つ道具では、コンジョイント分析が手法に入っております。L8直交表を例にしますが、あ列は1が4回、2が4回ずつ現れます。い列も同様、う列も同様、あ列とい列で見た場合、(1,1)(1,2)(2,1)(2,2)が2回ずつ現れます。他の列で見ても必ず2回ずつ現れます。
このようにバランス良く現れる表の列ごとの相関を取ると、必ず相関ゼロ、無相関になります。水準の顧客価値が分離できることになります。これを効用値といいます。商品の全体コンセプト評価して置きながら、水準の価値が得られるのは非常に有効です。
4. 組み合わせ案を表記と評価
直交表に割り当てた組み合わせを顧客に評価させるのは、わかりにくいので商品案を具体的に示して、総合評価を評価してもらいます。総合評価は購入意向、買いたいや使用意向、使いたいを聞くとよいでしょう。組み合わせ案を評価してデータ入力し、コンジョイント分析を実行すると結果が得られます。
5. コンジョイント分析のみかた
効用値の表から、効用値は平均値に対する影響度を示します。影響度は平均値をどれだけ増減させるかの価値の数字です。今回の例では平均値は定数項で求められています。最適水準を決めます。最適水準は顧客に最も良い価値の組み合わせを示します。最も総合評価を上げる水準の組み合わせになります。評価した8枚の組み合わせの中に最高の価値である評価がある訳ではありません。
今回の例では、・パッケージ:中から出てきて溶ける・色と効果:途中から変わる・音:泡のような音が出る・形:キャラクターが出る・価格:10個入り400円が最適な組み合わせになります。
効用値グラフを見ると・パッケージ・色と効果・音について折れ線グラフ...