“技術士”という資格の知名度を考える
2018-08-28
「ものづくり.com」の専門家に登録されている方の中で“技術士”の資格を持っている方は多いようです。
“技術士”の資格を持っている専門家の方にお聞きします。“技術士”という資格の知名度は高いと思いますか?
私は、世間一般の方々の中で、技術士という資格の知名度はまだ低いと思っています。「技術士って何?」という方がほとんどだと思います。
10年ぐらい前、弊社に技術相談に来られた方がいました。技術者ではない一般の方でした。「家の近くでトンネルの工事を行うが、工事によって自分の家に対してどのような影響があるのかを知りたい」というのが相談内容でした。
その方に、「技術士(総合監理部門/建設部門)」と書いてある私の名刺をお渡ししたら、「技術士とはどのような資格ですか?」と聞かれました。技術士という資格をご存じなかったようです。
技術士の資格を取得しようと考えている方におすすめの記事はこちら⇒「技術士を取得する意味を考える」
技術士に関するまとめページはこちら⇒【特集】技術士とは?資格を取得する前に知っておきたい情報をご紹介!
「1級建築士という資格をご存じですか?」とお聞きしたら、「知っています」という回答でした。
このような回答をするのはこの方だけではないと思います。世間一般の方々の中では、“技術士”という資格より“1級建築士”という資格の方が知名度が高いと思います。
これは、「1級建築士の方が自分の生活に身近であること」が理由の1つだと思います。1級建築士は、住宅やマンションの設計など世間一般の方々の生活と直接関係のある仕事をしているからだと思います。
同じように、世間一般の方々の生活と直接関係のある仕事をしている技術士もいます。例えば、建設部門の技術士は道路や橋梁などの計画・設計・施工を行っています。また、上下水道部門の技術士は上下水道の計画・設計・施工を行っています。これらの仕事は、世間一般の方々の日々の生活を支える重要な仕事です。しかし、世間一般の方々にとってこれらの仕事は、住宅やマンションの設計に比べて「自分と直接関係がある」という認識があまりないのかもしれません。
以下に示した技術士法の第2条は技術士の定義です。
この法律において「技術士」とは、第三十二条第一項の登録を受け、技術士の名称を用いて、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されている業務を除く。)を行う者をいう。
この定義を読むと、技術士と世間一般の方々との接点は見出せません。
しかし、過去に、弊社に技術相談に来られた方がいたように、技術士と世間一般の方々との接点はあると思います。
司法書士事務所や税理士事務所などのように、世間一般の方々が相談に来ることができる“技術士事務所”があってもよいのではないでしょうか。そうすれば、“技術士”という資格の知名度も少しずつ上がってくると思います。
ところで・・・
技術士第二次試験の試験方法が平成31年度から変わります注)。大きな改正点は、必須科目での択一式試験が廃止されることです。択一式試験が記述式試験に改正されます。来年度の技術士第二次試験を受験...
する予定の方は受験勉強が大変でしょうが、“受験勉強方法の戦略と戦術”を考えて試験の準備をしっかりしてください。
注):2018年4月19日に「技術士第二次試験対策:平成31年度・技術士試験の試験方法の改正について」という記事を掲載しました。