暗黙知の可視化プロセス 技術伝承とは(その7)
2019-02-12
前回のその6に続いて解説します。
暗黙知作業の単位作業と要素作業を抽出したら、単位作業と要素作業の因果関係 (Input → Process→ Output)、また時間経過による変化などを確認・整理します。必要であればフロー形式で整理し、前後関係や時間経過などがひと目でわかるようにしておくと便利です。また作業が撮影できるような作業であれば、動画を撮影し作業分解した結果と比較して漏れや違いなどを確認したり、作業分解に参加しなかった関係者へ作業分解結果を見せたりして、内容の妥当性を確認しておくことも重要です。
要素作業を単なる行動か判断を伴う作業かに分類し、判断を伴う作業に関しては選択肢の数で熟練作業か否かを判定します。つまり選択肢が Yes/Noの2つだと判断は簡単ですが、選択肢が3 つ以上あると前提条件や環境条件などにより判断が分かれることになります。この熟練作業である要素作業を、選択肢が二つになるまで分解していくのです。そのうえで各選択肢を、温度・圧力・数式などで規定化・定量化していきます.ただし、誰に伝えるのか、また全体技術レベルの底上げなのか固有技術の深耕なのかによっても、どこまで作業分解するかが異なります。必要以上に分解し形式知化しないことが重要です。
単位作業と要素作業の因果関係と規定化が終わったら、再現性が確保できているのかの検証が必要となります。つまり同じ考え方や同じやり方で作業を行い、同じ結果を導き出せるのかを確認するのです。再現性がない場合、要素作業の内容や因果関係・規定値が標準化できていないことですので、② 因果関係の明確化から再度検討し直し、再現性がでるまで繰り返します。再現性の確認は、トラブルが発生...
した段階で対応できるかがポイントとなります。そのような機会が生じたら再現性の確認を行うことをお勧めします。
次回に続きます。