統合イノベーション戦略と人材育成 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その47)

 
  
 
 今回は、政府の「統合イノベーション戦略」の骨格を元に解説します。内容的には、将来不足が見込まれる人工知能を扱う人材の育成が柱というものです。
 
 特に、注目したいのは、次の文章です。『政府はこれまで、情報技術や健康・医療などの分野ごとに戦略を策定していたが、分野横断的な取り組みが必要と判断、一元化する。』
 
 新規事業・新商品の企画や開発に取り組んでいる方は、何を今さらと感じるかと思いますが、分野として区切ることに限界が出てきたことは「統合イノベーション」というキーワードが使われていることから明らかです。
 
 私がここで思い出したのは、ドラッガーの『現代の経営』に出てくる次の一説です。
 
 「最高の仕事のための人間組織」に「機械の仕事のための原理は機械化である。人の仕事のための原理は統合化である。」という文章です。
 
 私の解釈ですが、各要素が独立する作業は自動化できるので機械化して、早く処理をする。各要素にどのように分解するか、機械が処理した結果をどのようにまとめるか統合するかは人が知恵を絞って判断し、計画を作り処理する。と考えられます。
 
 今回の政府の「統合イノベーション戦略」の骨格も情報技術、健康・医療などの分野ごとに分けることで、今までは明確になっていた戦略がしっくりこない、限界を感じてきた今だからこそ、「統合イノベーション戦略」と銘打ち、人が新しい未来の全体像を作り出し、分解した上で、人工知能やビッグデータへ渡して処理させるために必要な人工知能を扱う人材の育成を戦略として打ち出したのではないかと私は解釈しています。
 
 数年前から人工知能時代には今の仕事の50%がなくなるという話が取り沙汰されています...
が、ドラッガーは人間が得意とする仕事について提言しています。たとえ人工知能が普及してきたところで人の仕事が完全になくなることはありません。悲観的にならずに「統合」「判断」「計画」に着目して、その人材育成を進めてください。
 
◆関連解説『技術マネジメントとは』

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