前回のクレーム対応とは(その19)に続いて解説します。
2. 今後の対応日程の伝え方、「安心と信頼」を示すこと
クレームを抱えている顧客は、「自分の問題がどのように解決されるのか」を、最も知りたがっています。おざなりに処理されるのか、それとも誠実な対応をしてもらえるのか。自分自身の取り扱われ方が、大いに気になっています。
そうしたクレーム顧客に対する適切な配慮が、「今後の予定を伝える」ことにほかならないのです。問題解決までの道筋をきちんと説明し、すべてがクリアーになるまでの「安心と信頼」を示すことが大切です。
その「配慮と気配り」が、クレーム交渉をスムーズに進めることになります。
「この問題は◯△の検証と分析を必要としますが、遅くとも○月○日くらいまでには結果を出したいと思います。また、途中経過は適宜ご報告し、すべての経緯をご確認いただきますので、よろしくお願いいたします」何を、いつまでに、どのように対応していくのか。その結果、顧客はどのようなメリットを得ることができるのか。
「負い目」があるからといって、いたずらに冗舌となったり、弁解に終始する必要はないのです。大切なことは、顧客が抱えるクレームを、すばやく誠実に解決することです。丁寧で、適切なインフォメーションは、100の謝罪の言葉にも勝る効果を発揮するでしょう。対応スタッフは、慎重に相手の心の内を読みながら、適時、適切なインフォメーションの実行を心掛けるようにして下さい。
3. 留守・緊急時の連絡先の確認
訪問面談の際、うっかり忘れてしまいがちなのが、顧客の留守時や緊急時の連絡先の確認です。トラブル対応の経験が浅いスタッフは、「お客さまの連絡先ならわかっています。わかっているから、今回の訪問アポが取れたんです」と胸を張ってみせます。確かにそのスタッフは、「平時」の連絡先は知っているのでしょう。
ところが、「知っている」というある種の慢心が、「まさかのときの不手際」を生んでしまうことが少なくありません。通常であれば確認してある連絡先で話が通じるかもしれませんが、緊急時や留守のとき、出張時などに遭遇したときは、いったいどこに連絡をすればよいのか。
いざというときになって連絡が取れず、慌てふためいても取り返しがつきません。顧客との連絡パイプは、留守時や緊急時を想定したうえで、複数入手しておくべきです。訪問面談したときは、一言、次の質問をして確認しておきましょう。
「今回はこちらのお電話番号でご連絡いたしましたが、緊急時やお留守のときは、どちらにご連絡させていただけばよろしいでしょうか」
単刀直入に質問して、留守時や緊急時の連絡先(たとえば自宅電話とは別の携帯電話番号など)を確認しておけば、万一のときにきっと役に立つはずです。
意外に認識されていませんが、企業と顧客が信頼関係を構築するためには、双方が連絡を取りたいと思ったときに、必ず連絡できることが大切...
なのです。連絡が取れないという事態は、それだけで不信感を醸成する危険があります。
クレーム顧客がスタッフと緊急連絡を取る必要が生じたときに手間取ったり、逆に企業が顧客と連絡を取りたいときに不在が続いたときなどは、企業と顧客の双方に「不信感」が芽生えてし
まいます。
それまで双方が築き上げてきた信頼関係が、一本の不通電話によって崩壊してしまう可能性も否定できません。たった一回の電話連絡が、決定的な悪影響を与えないためにも、いくつかの緊急連絡先の確認を忘れないことが大切です。
次回に続きます。
【出典】武田哲男 著 クレーム対応、ここがポイント ダイヤモンド社発行
筆者のご承諾により、抜粋を連載