3. 注意すべき電話・メールの対応と謝罪の仕方
前回のその30に続いて、解説します。
【クレーム対応心得】
・明らかに企業側に問題がある場合は、自社の過ちを率直に認め、先ず謝罪してから話し合いのテーブルにつく。
お客さま相談室が犯しやすい過ちの一つは、謝罪を罪悪視することです。発生したトラブルやクレームを企業の論理で押さえつけて「処理」しようとすると、どうしても「謝罪を罪悪視する思想」が芽生えます。まるで、クレームを告知してきた顧客と対決しなければならないかのように考えて、謝罪イコール敗北といった論理で事に立ち向かうケースもあります。
頑なに謝罪を拒否する背景には、次のような思惑や心情が存在するのです。
- なんとかトラブルから逃げようとする
- その場限りの対応で終わらせたい
- 自分自身の責任を回避したい
- 上司の受けをよくしたい
自分白身の責任回避や上司の評価を気にする姿勢が強くなると、顧客に対して不必要に高圧的な態度を示し、押し込めようとします。ところが、顧客心理からすれば、自分自身の希望が踏みにじられるほど、企業とスタッフに対する憎しみの感情が増幅してきます。一見、温和な態度に感じられる対応でも、すぐに愚勲無礼な姿勢が見破られ、「結局、何だかんだ言っても、お客の立場に立つ姿勢がないじやないか」と看破されてしまうことになります。
こうした信頼関係の崩壊は即顧客離脱に直結し、企業にとって取り返しのつかないマイナスをもたらすだけです。
反対に、自社の過ちを率直に認めて「まず謝罪してから話し合いのテーブルにつく」という誠実な姿勢を...
表明すれば、顧客の企業イメージはプラスに転じる可能性が高いのです。謝罪は、敗北でも屈辱でもありません。過ちを認める誠意と勇気こそが、企業の顧客に対する認識を物語るのです。
次回は、クレームは、大切な宝の山の解説を行います。
【出典】武田哲男 著 クレーム対応、ここがポイント ダイヤモンド社発行
筆者のご承諾により、抜粋を連載