改善活動のポイント 開発生産性向上(その4)

【開発生産性向上 連載目次】

 
 「開発生産性(その3)」では、開発生産性を向上させるための様々な活動を俯瞰的に示しました。今回は、これらを進める上での、実際の取り組み方について解説します。
 

6.活動のポイント

 
 開発生産性向上は多くの企業活動に関係する取り組みですので、実行に当たっては様々な考慮すべきポイントがあります。ここに、その内の基本的なものを挙げます。
 

(1) 次の点から、必ず経営の主導で活動を進める必要がある。

 
 

(2) 次の点から、単一の活動のみではなく、全体像から活動計画を考えることが望ましい 

 
 実際には、全ての取り組みを同時並行するのは難しいため、大局的に検討を行った上で、見つけた急所から手を付ける、外部コンサルティングのサービスを利用するなどの実行計画を立てることになります。例えば、「開発の後戻りが多い」という課題があった場合、図5.のように様々な対応策が考えられますが、部署の弱点が設計レビューにあるようであれば、まずそこから対策を施していくことになります。但し、このように全体像から考えておくことで、他に取り組むべきことがあることや、その他の活動への悪影響を与えないことを意識することができ、今後トータルな活動に発展させた場合の活動成果が担保されることになります。
 
 
 図5. 開発生産性向上活動計画の例
 

(3) 「開発効率改善活動」自体を高効率で行うために、スキルのある人財が必要です。

 
 

(4) 改善は、社会の変化に合わせて間断なく行われるべきものであり、直近の課題解決に加えて、基盤構築のための「人づくり」「組織づくり」を目的の一つとして進めなければならない

 

7.企業は市場に適応した高生産性企業へ...

 
 ものづくり企業においては、開発生産性を上げるための組織改革が、待ったなしの状況ですが、これは、企業の存続にも影響し、多大な投資を求められる厄介なものと受け取られる場面が多いように感じています。そのような場合がありましたら、この活動を「世の中の変化を活用して、企業が市場に適応した高生産性企業に生まれ変り、我々技術者自身も一段高いステージに上がるためのもの」とポジティブにとらえ、活動に取り組んで頂けたらと思います。
 

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