基本の大切さ 儲かるメーカー改善の急所101項 (その2)

 
  
 

1. モノづくり〈基本の基本〉

 

◆ 基本の大切さ

 
 勉強でもスポーツでもそしてもちろん仕事でも、もしあなたが「基本は大切だと思いますか?」と聞かれたら皆さんYESと答えるのではないかと思います。
 
 しかし次に、「あなたはその基本をしっかりと教わったことがあって、その上で基本をきちんと守っていますか?」と聞かれたらいかがでしょうか?YESと答えて下さる方はグンと減る気がします。
 
 Kさんは家具メーカーA社で働くベテランです。Kさんの隣には若い社員のYさんがいて、同じ仕事をしています。
 
 お二人の仕事ぶりを見ているとベテランのKさんと若いYさんとの間にはずいぶんと違いがあるのです。Kさんの動きは決して速く見えませんが、余分な動きが少なく、また作業間違いなどをしないので仕事が着実に進みます。
 
 一方のYさんは、なぜか余分な動きが多いように見えるのです。例えば工具や部品の置き方が決まっていないので、その度にどこにあるかを探しているようです。あるいはネジを締めたり釘を打ったりという作業ですが、時々仕損じがあり、やり直しをするのです。結果的に慌ててしまい、むしろ手足の動きはKさんより速くみえるときもあります。しかし同じ製品を組み立てているのですが、記録を見ると出来高はKさんの方が3割くらい多いのです。
 
 何が違うのでしょうか?もちろん年季が違うといえばそうなのですが、それより前にYさんは基本ができていないことが一番の問題なのです。必要な工具が近くにない時は立ち上がって工具を取ります。また工具を材料に対して直角に当てていないので、きちんと締まらずやり直す。こういうことをしばしば繰り返していたのです。どうも教わっていないようです。
 
 私はKさんにそれらの基本をYさんに教えてあげるようお願いしました。Kさんはそんなこと改めて教えることかなあ...と言いながら工具を近くに取り易く整頓して置くことや、工具の持ち方とその時の姿勢をYさんに教えてあげました。
 
 すると、どうなったか?? その日からYさんの生産量は2割向上したのです。仕事をきちんと教わっておらず、見よう見まねで作業をしていては絶対に仕事はうまくなりません。
 
 そういう人が職場にいたら困るし、かわいそうです。そういうことがないようにしっかりと現場を見てください。よろしくお願いします。
 
 『儲かるメーカー改善の急所<101項>』として下記の...
ように出版しました。本連載はこれらの概要を紹介していきます。次回に続きます。
 
 
 
 

 今回の言葉

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基本中の基本を徹底せよ。
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「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」
日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫
◆関連解説『生産マネジメントとは』

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