1. 知財の持つ価値
知財経営の実践については、その重要性が参考文献のように報告されています。〔1〕〔2〕知財の活用を、企業経営においては、常に意識しましょう。知財経営が有効となるのは、技術が自分の会社の強みとなる場合です。自社の強みを分析してみることが必要です。強みが技術にある場合は、知財戦略を考えてみましょう。
2. 知財経営:海外模倣品(権利侵害品)対応
海外で侵害品をみつけた場合や侵害警告を受けた場合の対応は、国内の場合と異なるのでしょうか。海外での係争は、国内での係争以上に難しいものです。海外の知的財産権制度や運用を理解して、対応方法を検討する必要があります。
海外模倣品(権利侵害品)を放置しておくことは避けましょう。そのことで、売上が減少し市場を失ったり、ブランドイメージが低下したりという被害を被ることになります。海外模倣品(権利侵害品)対策に積極的に取り組んでいる企業は、現地の代理人と連携して対応しています。また、現地の取り締まりの当局への摘発等を行っています。国によって取り締まり体制や裁判制度や運用が異なります。これらについて情報を入手することが重要です。
3. 知財経営:海外における知的財産権侵害調査の助成
海外で知的財産権の侵害を受けている中小企業を対象に、日本貿易振興機構(ジェトロ)では、侵害調査の助成を行っています。日本貿易振興機構が調査機関と契約し、現地での侵害調査を実施します。そして模倣品の製造元や流通経路の特定、市場での販売状況などの情報を提供します。問い合わせ先は、日本貿易振興機構(ジェトロ)知的財産課です。
【海外における知的財産権侵害対策の助成金】
海外における知的財産権侵害対策の助成金としては、次のものがあります。
・冒認商標無効・取消係争支援(中小企業海外侵害対策支援)
海外で現地企業から自社の商標や地域団体商標を冒認出願(商標登録を受ける権利を有していない者による出願)された中小企業等に対する助成です。
冒認出願(商標登録を受ける権利を有していない者による出願)が、中国で特に多く行われています。この場合には、冒認商標無効・取消係争となる場合が多くあります。支援の対象は、中小企業者と中小企業者で構成されるグループです。
助成対象となる経費は、冒認商標を取消すための異議申立て、無効審判請求、取消審判請求に要する費用、これらに要する弁護士や弁理士等の代理人費用です。補助率は、3分の2、上限額は500万円です。
・防衛型侵害対策支援(中小企業海外侵害対策支援)
外国企業からの冒認出願で得られた権利等で日本企業が権利侵害を指摘されたり、警告状を送付されたり、訴訟を起こされたりするケースがみられます。このようなトラブルに対する支援を助成するものです。
支援の対象は、中小企業者と中小企業者で構成されるグループです。支援を受けるためには、対象国で係争に関する知的財産権を保有、もしくは実施権を得ていることで...
4. 知財経営:侵害警告を受けた場合
海外における侵害警告を受けた場合は、国内の場合と同様に、冷静に対応しましょう。最初に、警告の対象となっている特許権の存否や状況を確認します。まず弁理士や弁護士などの専門家と相談してみましょう。
次回に続きます。
【参考文献】
〔1〕特許庁「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006」(H19.3)
〔2〕「戦略的な知的財産管理に向けて「知財戦略事例集」(2007.4特許庁)