【目次】
- 1. 多工程受注生産の生産管理
- 2. 何が利用を難しくしているのか
- 3. 内示情報で受注生産
- 4. リードタイムと待ち時間
- 5. システムを成功させるには
- 6. パッケージ利用とスクラッチ開発
- 7. 工程間滞留時間の分析
前回のその5に続いて解説します。
3.生産管理システム導入を成功させるためには何が必要か
(3) パッケージ利用ではなくスクラッチ開発が増えてきた
生産管理システムの構築方法にはERPや生産管理パッケージを利用する方法と、自社用のオリジナルシステムをスクラッチ(個別)開発する二通りのアプローチがあります。数年前まではパッケージ利用が主流でした。最近は超高速開発ツール(図5)を使ったスクラッチ開発を選択する中堅企業が増えています。
図5.超高速開発ツールによるシステム生成
受注生産メーカーの生産取引においては取引先の要求に合わせた柔軟なシステム対応を余儀なくされることがあります。パッケージ利用の場合は取引先からの要求への対応が難しく、カスタマイズ(改造)に多額な費用が必要になることもあります。超高速開発ツールを使えばこれらの要求にも柔軟に対応できます。さらにプロトタイプを仕上げる形での開発ができるのでユーザー満足度も高まりやすいでしょう。システムのメンテナンスも容易なので、情報システム担当者がいる企業を中心に超高速開発ツール採用の動きが加速してきています。
(4) 製造現場が指示通りに作っていることを検証できるシステムにする
生産管理システムや生産スケジューリングソフトが機能していないと悩んでいる工場を訪問すると、システムの問題ではなく製造現場運用の問題に遭遇することが多々あります。製造現場がシステムから出てくる生産指示(生産計画)通りに製造してないのであれば、いくらシステムで精緻な工程計画を作ったり、負荷調整をしても意味がありません。部品加工会社の製造現場は伝統的に現場だけで製造調整しようとする風土が強いのです。
現場が恣意的に製造順を調整しているような工場ではどこまで許容するかどうかでシステムの位置づけは変わってきます。指示通りに作ってもらうためには生産管理システムによる製造現場が指示通りに作業を進めているかを検証することが重要となります。スケジューリ...
図6.コンサルティングプロジェクトの進め方
次回は(5) 工程間滞留時間の分析ができること。から解説を続けます。
この記事は『プレス技術』2020年1月号に掲載の内容を筆者が改編したものです。