ARIZ(発明問題解決のアルゴリズム)

1.  ARIZとは

 ARIZは、発明的問題解決の思考アルゴリズムを意味するロシア語の頭文字を英語に置き換えたものです。TRIZを考案したG・Altshuller(アルトシュラー)は、狙いを次のように表現しています。「どんな困難でも扱えるように、複雑な問題をまず適切に定義し、そして解決できるようにしたい。」発明級の難問を分析し解決することを目的としたアルゴリズム形式の複合的な思考手順となっています。言い換えれば、数十種の質問を順番に答えていき解決策にたどり着かせようとするものです。上級者向けのTRIZツール活用チェックリストといってもよいでしょう。

 ARIZは、長期の研究および実践による検証の結果、新しい発明原理や知識データベースを取り込み改良が重ねられてきました。年ごとに改定された年号を入れ、ARIZ85Cのように表現されています。図1.にARIZの思考フローの概要を示しています。

 ARIZは「複雑な」問題に取り組むために存在しているとされているようです。ほとんどのTRIZ専門家たちがこのテーマに関して自分流の方法を主張しているほどです。私たちがアイデア出しに行き詰まったとき、助けてくれる最後の砦(とりで)としてARIZを使えばよいのだと考えます。実際に使ってみると、技術者が技法に使われているような感覚になりました。

図1. ARIZ85Cの思考フロー概要

2.  ARIZの思考プロセスフローの例

 少しでも分かりやすくするために「TRIZ体系的技術革新(Mann著)」に紹介されている思考フローの要約を紹介します。

っ込んで考えます。
  • ステップi)物理的矛盾を解消するために発明原理を使う
     物理的矛盾に対して、物理的矛盾を解消するためのアイデアを考えます。
  • ステップj)技術的矛盾を解消するために発明原理を使う
     技術的矛盾に対して、技術的矛盾を解消するためのアイデアを考えます。
  • ステップk)知識ベース/物理的効果(Effects)を使う
     ステップaで定義された否定的機能関係と矛盾するステップcで定義された有用機能を見て、否定的な効果でなく有用機能を提供する方法を見出すため、Effectsの内容を検討します。

【参考文献】

1.Darrell Mann 著, 中川徹 監訳:TRIZ体系的技術革新、創造開発イニシアチブ、2004
2.粕谷茂 著:「これで使えるTRIZ/USIT」、日本能率協会マネジメントセンター、2006

◆関連解説『TRIZとは』

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