中国と日本企業の違いとは 中国工場の品質改善(その63)

 前回のその62に続いて解説します。

【第4章】中国新規取引先選定のポイント

◆ 新規取引先を選ぶときのポイント

3、どのような顧客を持っているか

 新しく取り引きを始めようと考えている中国企業が、これまでどんな顧客と取り引きしていたかを知ることで、そこのレベルがある程度把握できます。仮に自動車業界と取り引きしているとすれば、品質・価格・納期すべての面で鍛えられていると考えることができます。また、既に日系企業と取り引きをしているのであれば、日系企業が求める品質や対応についても理解していると思われ、今後取り引きをするにあたっての要求事項を素直に受け入れてくれる可能性が高いといえます。

 逆に、今まで中国企業としか取り引きがないとすれば、日系企業の考え方や要求事項を理解させるのに苦労する可能性が高いといえます。ただし、これは取引先としてダメだと言っている訳ではありません。苦労する覚悟が必要だということです。コスト面で見れば、このような企業の方が大きなメリットをもたらしてくれる可能性は高いのではないでしょうか。

4、技術力

 新規取引開始にあたっては、その企業が求めるものを作る技術があるかどうかを確かめます。ただし、中国企業の場合、気を付けなくてはならないのは、引き合いを出すと「何でも作れる」と言ってくることです。しかしそれを鵜呑みにしてはいけないことは、既にお分かりでしょう。量産を開始して求める製品ができなかった時「出来るって言ったじゃないか」と言ってもダメです。きちんと確認をしなかったこちら側がいけないのです。ではどのようにして技術力の有無を確認したらよいでしょうか。

 一つは試作させてみることです。その試作品を確認することで技術力を判断します。試作させてみることが確実ですが、それには費用も時間もかかるので、ある程度見極めが済んだ段階で実施としたいところです。できれば、その前段階で判断したいものです。

 試作する前に技術力を確認するには、図面を見ながら打合せするとよいでしょう。こちらから技術的難易度が高い部分について、どのように生産するのかを聞き、それに対してきちんと説明できるか否かで判断します。また図面に関して、先方からいろいろ質問が出てくるようであれば、しっかり検討していることになり好感が持てます。ただし、図面を通しての打合せはこちら側も技術的な知識を持ち合せていないとできません。新規取引先開拓の業務では購買部門の人も、技術的素養を持つことが必要になります。

5...

、生産能力

 生産能力に関しても技術力と同じように中国企業は、確認もせずに「できる」と回答してきます。ですから自分の会社の発注予定数量を加えても問題ないだけの生産能力を持っているかどうかを確認することが必要です。その際は生産工程上でボトルネックとなる工程を把握し、その工程の生産能力を確認します。

 次回は、6、システムや仕組みの整備状況。から解説を続けます。

 【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行、筆者のご承諾により抜粋を連載

◆関連解説『品質マネジメントとは』
◆関連解説『生産マネジメントとは』

↓ 続きを読むには・・・

新規会員登録


この記事の著者