◆ データエコノミーな時代に必須なデータサイエンス
ビッグデータの時代と呼ばれて久しいようです。企業活動や人の行動などのデータが、日々大量に生み出されています。加速することはあっても減速することはないでしょう。この大量に生み出されたデータを上手く使い、競争力を高め収益を拡大しつづけ、データエコノミーを創造する企業が力を得ています。その代表格がGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)と呼ばれる米国系企業でしょう。今回は「データエコノミーな時代に必須なデータサイエンス」というお話をします。
1、データを持てる者と持たざる者
このままでは、データが競争優位性の鍵を握り「データを持てる者と持たざる者」といった感じになってきそうです。その代表格がGAFAですが、データだけで何かをしているのではなく、データを上手く活用し何かをしています。たまにデータを集めて何かしろ的なことを仰る人もいますが、そこは間違えてはいけないでしょう。類まれなビジネスアイデアや圧倒的なスピードなど、データ以外の何かと結びついて、花が咲いているわけですから。
2、データがいくらあっても仕方がない
そもそもデータがいくらあってもドメインと適切に結び付け、競争優位を築き続けるスパイラルを構築しないことには、そのデータはいわゆる宝の持ち腐れになります。ドメインとは簡単にいうと、データの活用領域のことです。例えば、生産や営業、経営の現場などのことです。このドメインとデータがまず適切に結びつくことが必要になります。ドメインと適切に結びついていない状態のデータは、生かしどころの無い飼い殺し状態です。そうならないために、データとドメインを結びつけ価値を創造するデータサイエンス技術と、その人財であるデータサイエンティストが必要となります。
3、EU、一般データ保護規則:GDPR
最近ある一部で何かと話題の「EU、一般データ保護規則:GDPR」(General Data Protection Regulation)。EUで、2018年から開始された個人情報保護の規制強化の動きです。幾つかポイントとなる箇所はあります。その中の一つに「データポータビリティー権」というものがあります。
(1) データポータビリティー権
データポータビリティー権とは、今まで企業などが収集し囲い込んでいた個人データを、各個人が自己管理しコントロールできるようにする権利です。例えば各個人が、自分自身の個人データへアクセスしたり、持ち出したり、移転したりすることなどが可能となります。移転とは、あるサービスで発生し蓄積された個人データを、異なるサービスで利用することです。つまり個人データの持ち運ぶ(ポータビリティー)権利が、データを蓄積した企業などではなく個人に帰属することになります。
(2) 「データを持てる者と持たざる者」の解消
データポータビリティー権によって「データを持てる者と持たざる者」といったことの解消が期待されます。つまり、いくら個人データを集めてもそのデータ囲い込むことができず、個人データの主である個人が望めば、そのデータが他社に渡る可能性があるのです。すでにGoogleにはGoogle Takeout(https://takeout.google.com/)というサービスがあり、各個人が自分自身のデータを取り出すことができます。
(3) データ流通の仕組み作り
データポータビリティー権があっても、自分の個人データを持ち出し、他のサービスに移転するためには、何かしらの仕組みが無いとどうしようもありません。そのための動きの一つとして、情報銀行やデータ取引所などのデータを流通するための社会的機能の検討が、国レベルでなされています。ちなみにここで流通するデータは、個人データだけに限りません。センサーデータでも企業活動データなど、あらゆるデータが対象になります。日本では政府や行政レベルだけではなく、すでに民間レベルで検討が始められています。例えば一般社団法人データ流通推進協議会(https://data-trading.org/)などです。
4、データシェアリング
特定の企業や団体がデータを囲い組む時代から、多くの企業や団体でデータをシェアする時代に突入するかもしれません。創業したてのベンチャー企業でも、大企業が長年蓄積したデータを使えるようになったり、個人が望めば競合他社に集めた個人データが提供されようになったりするかもしれない、ということです。「データを囲い込むことよりも、データとドメインを結びつけ価値を創造するデータサイエンスが、今まで以上に重要になってくる」ということです。
5、データサイエンス力がものをいう時代へ
要するに、データを囲い込んでいるかどうか以上に、データサイエンス力やサービス開発・提供力、提供価格などがポイントになってくるのです。しかしながら、デ...
6、今回のまとめ
今回は「データエコノミーな時代に必須なデータサイエンス」というお話をしました。データが競争優位性の鍵を握り「データを持てる者と持たざる者」といった感じになってきています。一方で「EU一般データ保護規則GDPR」のデータポータビリティー権のようなものも出てきています。データポータビリティー権によって「データを持てる者と持たざる者」といったことが解消されるかもしれません。なぜならば、いくら個人データを集めてもそのデータ囲い込むことができず、個人データの主である個人が望めば、そのデータが他社に渡る可能性があるのです。
特定の企業や団体がデータを囲い組む時代から、多くの企業や団体でデータをシェアする時代に突入するかもしれません。データとドメインを結びつけ価値を創造するデータサイエンス技術が今まで以上に必要とされ、その人財であるデータサイエンティストもこれからますます必要となることでしょう。