実験計画法の有効性は理解したものの、いざ実践してみると戸惑うことが多いものです。そこで、ここでは下図に示す5つのステップ(ステージ)ごとに具体的な作業と留意点をリスト化することで、たとえ初心者であっても大きなミスをすることなく、熟練者以上に大きな成果を上げていただけると思います。
今回は最初のステージである前準備工程を解説します。
1.実験計画法:テーマの検討
開発テーマ(新製品、設備設計、工程設計)に関する最近の関心事項を挙げ、実験してGO/NO決定をする価値があるかどうかについて判断します。ここでは次のような点に気をつけます。
- 他社品発売で開発テーマに変更はないか
- 市場構造の変化で開発テーマが陳腐化していないか
- 低開発国の進出で開発テーマのコストが低くなり、メリッ卜のある製品になるか
- 円高要因で、輸出事情に変化はないか。社内事情により、開発テーマに変化はないか
- 外国の政治、経済事情で開発テーマを見直す必要はないか
2.開発方法の検討
前項で設定した開発テーマを達成できそうな方法を数えあげます。ここでは次のような点に注意してください。
- 方法は具体性がなくても可能性があれば数えあげる
- 重要な必要性能で数えあげた方法を採点し順位づける
- プレーストーミング、KT法など、何か発想方法を促進する方法を利用する
3.開発方法の決定
前項で挙げた開発方法から開発テーマを達成するため、より有望な方法を選択します。ここでは以下のような点に注意します。
- 開発テーマの目標値を具体的数値でとらえているか
- 陰の目標(他社品と同等など)を具体的に挙げて周知させたか
- 数えあげた目標を絶対目標と願望目標に分類したか
- 目標をオーソライズし、技術者に具体的目標を提示したか
- 開発目標は市場、経済などで変化することを前提とし、逐次変化に対応できるようなプロジェクトになっているか
- コスト目標、生産凪、作業性など性能外の目標を提示したか
4.情報収集
次に...
- 特許情報により採用不可の技術があるか
- 技術開発に必要とされる開発費用、期間、人数を正確につかみ現状(計画)と比較する
- 対抗品の情報収集をしたか
- 先任者へのインタビュー、過去のデータの収集をしたか
- 対抗社の特許情報解析をしたか
次回は「第2ステージ:要因水準決定『因子抽出』」について解説します。