前回は実験環境の整備についてお話しましたが、今回は最終ステップ(ステージ)「データの確認」について解説します。
♦ サンプルの破壊や紛失した際の欠測値処理
実験途中でサンプルが破壊し事件の継続ができなくなったり、紛失した際の欠測値に対する処理は以下のように行います。
- 再実験を行う
- 平均化を代入し解析を行う
- 逐次近似法で推定値を代入し解析する(田口『第3版実験計画法』(丸善)840ページ参照)
以上のような各方法があります。
欠測値が出ないようにすることが最良の対策ですが、不幸にも欠測があった際は③が望ましく、次いで②の順になります。いずれの場合でも最適条件決定後、最適条件自体の確認実験は必須です。
また、①回転しないモーター②エマルジョンができない入荷実験③信号が検出できないセンサー④感光しない写真フィルム⑤組み立てることができない組み立て部品など、実験目的とかけ離れた機能外サンプルが実験データに存在することがありますが、このような実験データが含まれることは、実験自体が成功している証拠ですので、機能外サンプルを欠測値として扱う必要はありませんし、分類値データとして解析してください。
ある化学工場であったお話をします。
L16で16個の乳化サンプルを作ることになったのですが、このうち5個が乳化しませんでした。実験者は即座に1条件に対し、5回再実験を行いましたが、いずれも入荷しませんでした。実験者は全実験が失敗したと思っていたのですが、実は大成功だったのです。エマルジョン粒径を軽量分類値とし累積法で解析を行い、目標粒径を有する乳化物の製品化に成功したのです。これと同様な事例は沢山ありますので、機能外サンプルは全実験の半分程度あっても解析は十分できます。不都合な結果だからと...
また実験後、あるサンプルに条件設定ミスが発見されることもあるかと思いますが、これは単に過失行為であって、誤差とは区別されるものですから①、②、③のいずれかを実施してください。
次回は「第5ステージ:データ解析『データ変換』」について解説します。