6、強いモノづくり
◆ 多品種生産改善のポイント
日本の高度成長期の大量生産要求に対応するため、製造業は改善で生産スピードを上げ生産量を増やし、コストを下げて大きな成果を上げました。同じ製品を安く大量に作る時は、生産スピードアップの改善は効果的です。
しかし今のマーケットはより小ロットの生産を求めているので、このやり方だけでは対応しきれません。ところが、大量生産時の成功体験が染みついていて、いまだに改善というと、スピードアップという考えから離れられないでいる会社もあるのです。
スピードアップする改善とは、これまで1時間に同じモノを50個生産していたところを、55個生産できるようにすることです。一方、多品種生産時における改善は1時間に5種類のモノを10個ずつ、計50個作れるようにすることです。これを達成するためには、品種を変える時の段取り替え時間を短くしなければなりません。
ところが、スピードアップの改善で大きな成果を上げた高レベルの工場でも、段取り替えの改善となると一気に熱量が低くなっていることがあります。なぜかと思い理由を聞いてみると、段取り替え時間は既に10分と短くなっており、苦労して9分にしても「たったの1分しか儲(もう)からない」といった理由が返ってきます。
しかし段取り替え時間が10分から9分と、1割短縮されれば、段取り替えの回数を1割増やせます。そこで生産品種を増やすことができるほか、在庫に最も影響が大きい製品を選び、ロットサイズを小さくすることで在庫を減らすこともで可能です。これから多品種の方向になっていくとしても、在庫を増やさずに対応することができるのです。
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在庫を増やさず、それでも品切れを起こさない高レベルの多品種少量生産ができるようになることは、変化スピードが速いこの時期にとても大切だと思います。段取り替え時間の短縮は、在庫削減と品種拡大の両方につながる経...
今回の言葉
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生産スピードを上げるより、段取り替えのスピードを上げよ。
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「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」
日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫