経営資源をリストアップする 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その83)

 

 今回は「経営資源をリストアップする」というタイトルで解説します。

 新商品の開発現場では、保有リソースを活かしたアイディア創出が求められます。保有リソースは、経営資源といわれ「資金調達や販売活動、従業員管理や経営管理などが統合されたもの」で「事業を成長させるための資源」を示します。

 事業を成長させるための施策の一つである商品開発は「何も持っていない状態」では叶(かな)いません。当たり前ですが、資源(リソース)が必要です。経営資源をフル活用し、良い品を市場に受け入れられる価格で、素早く提供することができるのです。

 

 それでは経営資源とは、どんなものがあるのでしょうか?

 一般に経営資源は (1)有形、(2)無形、(3)組織・人材の 3種類があります。ここで研究開発が意識してほしい、経営資源について紹介します。

(1) 有形

 文字通り、目に見える資産です。

 まずは完成品評価、モジュール解析、化学素材分析などに使われる評価設備や組み立て加工、化学合成といった生産設備を押さえましょう。その他、オープンイノベーションのマッチングにおいてもアドバンテージが発揮される開発拠点、営業拠点もリストアップすることをお勧めします。

(2) 無形

 ものとして目に見えない、形のない資産ですが、研究開発として馴染みが深いかもしれません。

 パテント(特許)や論文などで公開される技術、設計ノウハウなどが該当します。そのほか、企業ブランドや商標なども無形資源にあたり、現在行われている社内ベンチャー活動を推進する上で重要な資産となることがあります。

(3 )組織・人材

 一般にケイパビリティといわれる組織スキルです。

 今のトレンドならば著名なデータサイエンティストを大勢抱える組織は、産業界で羨望(せんぼう)の的となっていますね。特定の地域や業種で、100%シェアを獲得したような営業組織も重要な資源となります。


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 このように有形、無形、組織・人材という3つの経...

営資源を漏れなくダブりなく収集することは、既存の延長線上に限らない新商品を企画し、開発を進めていく上で重要な活動となります。

 極論ですが、既存の延長線上における商品開発では、研究開発として広範囲にわたる資産の棚卸しは必要がなく、従来通り、経営企画がその役を担うことでよいでしょう。イノベーティブ商品を生み出すアイディアの源泉とするべく、改めて経営資源をリストアップしてみましょう。

◆関連解説『技術マネジメントとは』

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