小集団活動の事例を紹介、QCサークルとの違いから進め方まで

【目次】

    品質管理活動、改善活動、ISO活動などにおいては、再発防止活動の位置づけが重要です。不良削減では、再発防止が最も重要な活動だからです。一方、実態はというと型通りの原因追究で簡易的な再発防止策を行い、それを流出防止の再発防止策と判断している企業が少なくありません。これでは再発防止の効果が現れません。今回は、「小集団活動、プロジェクト活動とは何か」を考えます。

    ◆関連解説『生産マネジメントとは』

     

    社内で活動を行う場合は「なぜ行うのか」「会社のメリット」「職員のメリット」をしっかりと理解させる事が大切になります。改善活動が仕事をすることの楽しみの一つとして感じてくれると士気は上がります。

    そのためには、まず「今の自分の仕事をいかに楽して行うか」という題材から取組んでみましょう。改善活動の気づきや成功体験を積み上げながら必要性を理解いただきます。

     

    5S活動や改善活動の衰退の原因は、会社のメリットより自らのメリットを理解できずに「忙しいのにイヤイヤやらされている」「面倒だ」という思いが強くなることで衰退や最悪は活動停止となってしまいます。5S活動推進や社内活動活用もそうですが、グループ活動は簡単そうに思えても従業員の意識により取組方法も様々です。

     

    小集団活動の基礎固めには、関係者に「なぜ改善をするのか」改善をしたことによる「会社のメリット」と、「改善した皆さんに対するメリット」を理解して頂く必要があります。改善活動を行い、今まで以上に関係者の仕事負担が増えるのでは改善活動の意味がありません。

     

    1.「小集団活動」とは

    小集団活動とは、経営学用語の一つとなっており、従業員が経営に参加するための方法でもあり、企業内で少人数の従業員が集まったグループを作り、共同活動を行っていくことをいいます。

    小集団活動では、従業員は自主的に参加するという点と、テーマを設けないということが特徴で、継続的に活動を行い、従業員のチームワークを強め、結果的に生産性の向上を図ったり、従業員の意見が経営に反映されることを目的としています。

    主に、製造業で取り入れている企業が多く、製造現場で生産性向上や品質管理の向上を目的としてましたが、近年では流通業でも見かけるようになってきました。

    また、一般的には5Sの取り組みを行っているグループが多いことで、世間的に知られており、品質改善と問題解決の成果のために、日々改善活動を行っています。

     

    2.「小集団活動」とQC活動、QCサークルの違いとは

    小集団活動と同じような扱いをされているものに、QC活動とQCサークルがあります。

    小集団活動とは内容や進め方が異なってきますので、注意が必要です。

    QC活動やQCサークルは、名前のQuality Controlが「品質管理」を意味しているため、品質管理を目的とした活動や集団であることが分かります。

    本来であれば、業務の中で、異常や問題を見つけたら、すぐに解決に向けて取り組んでいくことが正しいですが、仕事をしながらそこまで全てを解決できるものとは限りません。

    また、改善には予算が必要になり、従業員では判断できない場合もあります。

    QC活動では、テーマを設定して、目標を決めて取り組んでいき、大きな問題や課題を改善していく役割を果たす、プロジェクト活動になります。

    具体的な例としては、工場の新しいルールを作る、部署で発生している不良の数を減らす取り組みを行う、作業的に危険な個所の対策を行うなどです。

     

    3.「小集団活動」の事例

    以下の事例は、QCサークルとは異なり、特定の目的やテーマに基づいて集まることが特徴です。

    (1)プロジェクトチーム

    特定のプロジェクトを達成するために結成されるチームです。例えば、新製品の開発やマーケティングキャンペーンの実施など、期限が決まっているプロジェクトに対してメンバーが集まり、役割分担をして進めます。

     

    (2)改善提案グループ

    業務の効率化や改善を目的とした小集団です。例えば、製造業の現場で作業の流れを見直し、無駄を省くための提案を行うグループが考えられます。定期的に集まり、改善案を出し合い、実行に移します。

     

    (3)ワークショップチーム

    特定のテーマに基づいて集まるチームで、例えば、社員のスキルアップやチームビルディングを目的としたワークショップを開催するためのグループです。参加者がアイデアを出し合い、実践的な活動を通じて学び合います。

     

    (4)イノベーションラボ

    新しいアイデアや技術を探求するための小集団です。企業内で新規事業の立ち上げや新技術の研究開発を行うために、異なる部門からメンバーが集まり、自由な発想で議論や実験を行います。

     

    4.「小集団活動」の進め方

    (1)目的の設定

    活動の目的を明確に設定します。これは、チームが何を達成したいのかを理解するための重要なステップです。具体的な目標を設定することで、メンバー全員が同じ方向に向かって進むことができます。例えば、業務改善や新製品の開発など、具体的なテーマを決めると良いでしょう。

     

    (2)計画の立案

    目的を達成するための具体的な計画を立てます。この段階では、活動の内容やスケジュール、必要なリソースを洗い出します。また、役割分担を行い、各メンバーがどのように貢献できるかを明確にします。計画を立てることで、活動がスムーズに進行しやすくなります。

     

    (3) 実行と評価

    計画に基づいて実行に移します。活動を進める中で、定期的に進捗を確認し、必要に応じて計画を見直すことも大切です。活動が終了したら、成果を評価し、次回に向けた改善点を洗い出します。このフィードバックを基に、次の活動に活かすことができます。

     

    5.「小集団活動」の目的

    小集団活動には、以下の目的があります。

    (1)経営課題の解決

    経営で問題や課題がある点について、従業員が活動に参加することで、問題の解決を目的としています。

    従業員の一人一人がそれぞれの個性や能力を持っているため、何人かが集まることにより、経営者だけでは思いつかないような案が出ることがあります。

     

    (2)個人の意識の強化、組織力の向上

    やはり、従業員も活動に参加することで、仕事に対するモチベーションが上がっていき、個人の意識も強化されていきます。

    従業員の仕事へ...

    の考え方が変わるきっかけにもなりますし、個人の能力向上が期待できるだけでなく、会社の取り組みに対する関心を深めることができます。

    そうすることで、結果として、職場としての組織の連帯感が強くなり、組織力も向上していきます。

     

    (3)次世代の人材を育成できる

    最後の目的は、人材育成ができるということです。

    従業員を活動に参加させることで、一緒に考える機会を作ることで、参加した全員が一緒に職場づくりを行っていき、結果的に人材育成に繋がっていきます。

    人を育てるための機会としても、利用していくべき活動です。

    人材育成に資源、時間、お金をかけていくと、企業力だけでなく、こういった小集団活動のレベルも向上していきます。

     

    最後に、小集団活動は、メンバーに任せきりにするのではなく、経営者や管理監督者といった各層も適切に関与するといったこともモチベーションを維持させるポイントの一つです。

     

    6. まとめ

    現場では、小集団活動のようなコミュニケーションが苦手という方が結構おられます。また、ベテランの方から「最近の若い人は何を考えているか分からない」という意見を聞いたりもします。小集団活動のような活動はリアクションや感情表現が重要です。少しずつでもコミュニケーション上手になろうと思われる方は、上手なリアクションを心がけてはいかがでしょうか。

     

    ↓ 続きを読むには・・・

    新規会員登録


    この記事の著者