データを使い販売力を効率的に高めるセールスアナリティクスには、3つの典型的なテーマがあります。
- 新規顧客の獲得
- 既存顧客の離反阻止
- 既存顧客の取引額拡大
もしくは、3つを区別せず「売上」や「利益」、「コスト」という感じで合算して数字を分析する感じになるかもしれません。そういう意味では、典型的なテーマは3つではなく4つと言えるかもしれません。その中で、最近多いケーススタディを何回かに分けて紹介していきます。今回は、「出世魚分析(隠れた宝石探し)」のお話しをします。
【目次】
1.出世魚分析(隠れた宝石探し)とは?
(1)既存顧客の2種類のポテンシャル
(2)リード(見込み顧客)の選別に、ちょっと似ている
2.「出世魚分析」(隠れた宝石探し)の場合
(1)違いはデータにあります
(2)店舗系のビジネスを展開している場合
1.出世魚分析(隠れた宝石探し)とは?
既存顧客を何かしら分類することが多いと思います。
例えば、ランクA(大口顧客)・ランクB(中口顧客)・ランクC(小口顧客)などです。下位ランクの中から上位ランクになりそうな既存顧客を探し対応するのが「出世魚分析」(隠れた宝石探し)です。3つの典型的なテーマの中の「既存顧客の取引額拡大」のデータ分析・活用に該当します。
(1)既存顧客の2種類のポテンシャル
「出世魚分析」(隠れた宝石探し)では、既存顧客のポテンシャルを見積もることになります。
この場合のポテンシャルには、2通りの意味合いがあります。1つは、「上位ランクになる可能性」という意味でのポテンシャルです。もう1つは、LTV(顧客生涯価値)や取引高などの「収益を生む可能性」という意味でのポテンシャルです。
(2)リード(見込み顧客)の選別に、ちょっと似ている
「出世魚分析」(隠れた宝石探し)は、「新規顧客の獲得」のための「リード(見込み顧客)の選別」に、ちょっと似ています。「リード(見込み顧客)の選別」は、各リード(見込み顧客)に対し既存顧客と似ている度合いを計算し、優先順位付けを実施します。マッチングという手法を用いることが多いです。
さらに、既存顧客と似ている度合いだけでなく、「受注のしやすさ」(受注確率)や受注した場合の「受注金額」などを合わせて計算するケースが多いです。
2.「出世魚分析」(隠れた宝石探し)の場合
「出世魚分析」(隠れた宝石探し)の場合は、各「下位ランクの既存顧客」に対し「上位ランクの既存顧客」と似ている度合いを計算し、優先順位付けを実施します。同様に、マッチングという手法を用いることが多いです。さらに、上位ランクの既存顧客と似ている度合いだけでなく、「ランクアップのしやすさ」(ランクアップ確率)や将来の「LTV(顧客生涯価値)」や「取引高」などを合わせて計算するケースが多いです。
このように「リード(見込み顧客)の選別」と「出世魚分析」(隠れた宝石探し)は似ています。利用する手法も似ています。
(1)違いはデータにあります
「リード(見込み顧客)の選別」と「出世魚分析」(隠れた宝石探し)の大きな違いは、利用できるデータの種類と量です。
「出世魚分析」(隠れた宝石探し)の場合、既存顧客のため利用できるデータの種類と量が、「リード(見込み顧客)の選別」よりも増えます。「出世魚分析」(隠れた宝石探し)では、「上位ランクの既存顧客」が「下位ランクの既存顧客」であったときのデータを活用します。
例えば、「上位ランクの既存顧客」が「下位ランクの既存顧客」であったときに……
- どのような商材をいくらで取引していたのか、
- どのようなアクション(例:頻繁に問い合わせがあった、担当役員に紹介された、名刺交換数が多かった、担当者が非常に積極的に動いてくれた、など)があったのか、
……などです。
基本ありもののデータで、このデータ分析・活用は進めます。しかし可能であれば、当時の状況に関し足りないデータは、当時の担当者にヒアリングをするなど、新たに生成するといいでしょう。今後、どのようなデータを記録し残すべきかのヒントになります。
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2)店舗系のビジネスを展開している場合
店舗系のビジネスを展開している場合には、既存店の収益ポテンシャルを測り活用するデータ分析・活用に該当することでしょう。
例えば、店舗条件(例:エリア特性、店舗要件など)の似ている上位店舗の売上などから……
- 収益ポテンシャルを計測し、
- そのために何が足りないのかなどを分析し、
- 足りない要素をレコメンド(例:店舗QSCや従業員ES、店舗設備、プロモーション時の動き方など)する
……など。
本来の力を発揮できていない店舗を見つけ対応することができます。
次回に続きます。